森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

イヌツゲ

2010年12月18日 | 自然観察日記
葉を残している低木にイヌツゲがあります。あんまり注目されない地味な存在なのですが、この時期はそれでも目立つようになっています。しかし、花もなければ実も落ちてしまっています。ただ枝先に数枚の葉が残るだけです。

イヌツゲ 虫こぶ

2010年12月18日 | 自然観察日記
花は地味でもイヌツゲは虫こぶで有名です。タマバエの一種が産卵して出来た「こぶ」で枝にはその抜け殻様のこぶが沢山付いています。こんなに虫こぶが出来ていてはこの樹は弱るだろうなぁ。穴はハエが出た痕なのでしょう。一つのこぶに何個もあいています。ここにいたタマバエの成虫はこの時期どこにいるのでしょうね。来春の枝の若いうちにまた産卵するはずです。タマバエとイヌツゲ、2種の生物間の関係。イヌツゲにとっては何の利益もなさそうですから「寄生」の関係ということになります。

カラスザンショウ ①

2010年12月17日 | 自然観察日記
ちょっとした発見です。カラスザンショウが八木鼻に分布していました。私も所属している「植物同好じねんじょ会」が以前出版した「新潟県植物分布図集」では記載されていない空白地域になります。だいたいにおいてこの種は海岸に近いところに生育しているのですが、下田の八木鼻はかなり海岸線から離れていますから特異な分布地点ということになります。大昔、この辺りは海岸線だったのかもしれません。その名残りとすれば、また一つのロマンが芽生えます。

カラスザンショウ ②

2010年12月17日 | 自然観察日記
大木もあり結構個体数もあります。落葉は遅いようで他の木々には葉がないのにカラスザンショウだけは葉が残っています。葉と一緒に実が付いていました。そこでこの実を採って確認したいと思うのですが、なにせ急斜面。足場が悪いうえ結構な大木。おまけにところどころに棘があります。足場を救われ転倒する始末。ちょっと悲惨です。

カラスザンショウ ③ 実

2010年12月17日 | 自然観察日記
少々負傷して手に入れた果実です。背景の樹がカラスザンショウの大木(この辺りには棘はありません)。実は、この実を見るまでは半信半疑でしたが、実を確認して間違いなくカラスザンショウでした。小さな発見ですが結構大きな興奮が沸きあがりました。自然というのはいいですね。新しい発見が次々に出てきます。こういう喜びを共有できる仲間を作って行く必要があるようです。

ミヤマキケマン

2010年12月16日 | 自然観察日記
八木鼻登山道入り口当たりにはひときわ青々とした草むらがありました。周りが枯れ草色なのに陽を浴びて水水しさが際立ちます。近寄ってみるとキケマンの葉。花の時期ではないのであまり明確なことはいえないのですが、この辺りはミヤマキケマンの分布域ですから多分これでしょう。キケマンの中間はいわゆる「越年草」で冬は葉が青々と茂ったまま過ごします。冬場の光条件を最大限利用している種のようです。冬といってもそれほど寒くない地域に適応していると考えたほうがいいようです。それでも北海道にも近縁種があるそうですから、結構頑張り屋なんですね。

ミヤマナラ

2010年12月15日 | 自然観察日記
足元にはナラの木がまだ葉をつけています。展葉して時間が経っていないのかようやく紅葉の段階に入り始めたような微妙な色合いが陽に浴びて浮かび上がっています。一見ミズナラの低木ですが、越後の山地の稜線上には低木状の毛の多いミズナラをミヤマナラとして区別するようです。分類を専門としない限り気にしないでもいいことですね。ドングリの中間にも個性的なものがいろいろあるということです。それよりこの小春日和の日は葉っぱ一枚でいい気分になれるのがうれしいですね。

イヌシデ大木

2010年12月14日 | 自然観察日記
八木鼻の稜線上にイヌシデの大木です。大木といって相対的なものでもこの尾根筋の個体は高さはせいぜい15m程度でしょうか。しかし、幹周りは径50cm程度ありどっしりとしていて存在感があります。古木・大木はそれ自身で神秘的で人を引きつけるものがありますね。風雪を絶えて生き続けてきた重みがあります。樹形も整っていて美しさがあります。新芽もしっかり蓄えていてまだまだこの命は「老」ではなく「壮」なのでしょう。

オトコエシ 実

2010年12月13日 | 自然観察日記
寒風に晒されて揺れている枯れ草、その先端にまだ散りきらない実が付いています。オトコエシです。種子の周りに案外多きいい翼がリング状に付いていて、これはこれで美しい造詣ですね。こういうのを見るに付け、つくづく思います。この形質をどういうメカニズムで獲得したのだろうかと・・。まるでオトコエシが意思をもつのではないかとおもえますね。でも最近、この主語が環境にあるのではないかと思い始めています。

アブラチャン つぼみ

2010年12月12日 | 自然観察日記
来春早々に咲き出す花の一つがアブラチャンというクスノキ科の低木です。越後でも普通に見られるものですが、小さなつぼみを沢山つけて春の準備をしています。尖ったのが葉芽、丸いのが花芽。比較的長い柄の先についているのですが冬を迎えるにしては合理的な作りには思えません。雪や氷の脱着で千切れてしまわないのでしょうか。それに小鳥がついばみやすい形ですね。いずれにせよそうならない工夫がされているはずですね。

アブラチャンの落葉

2010年12月12日 | 自然観察日記
落葉は低温や乾燥にたいする植物の適応の一つ。全部葉を落とすものや一部に留めるもの、あるいは冬期は落とさずに越冬するものいろいろあります。全部落とすものでも葉が枯れてもなかなか落ちない樹があります。ナラの仲間に多く見られますね。枝と葉柄の境に離層という組織が発達しているかどうかで落ちやすい種かそうでないかが決まります。アブラチャンも離層があまり発達しないようで、いまだに枯葉を沢山身につけている個体がありました。

名所 八木鼻

2010年12月11日 | 風景
12月2日はとても素敵な小春日和。八木鼻から袴腰山の尾根道を歩くことにしていそいそと出掛けました。まだ家の冬の準備は完成していないのですが、もうこんな日よりは年内にはないだろうということでカメラ一つを持っての散策です。
八木鼻は三条市(旧下田村)の名所、地名の由来は良く分からないが「八木」は「米」からとか「鼻」は横から見た鼻かなという自己流の解釈をしている程度です。断崖絶壁にはかつてハヤブサが巣を構えるということでも有名です。この下の国道は数え切れないくらい通っているのにこ八木鼻の頂には登ったことがないのです。ここからまたひときわ有名なヒメサユリの小路への縦走路をのんびり歩きたいと思った次第です。


守門岳遠望

2010年12月11日 | 風景
八木鼻の頂きまでの登りは面白い植物がいろいろ出てきました。それは追って取り上げるとして、頂からの眺めのいいのには感動です。やや逆光気味で姿が明瞭ではないものの守門岳が正面にそびえています。

袴腰山

2010年12月11日 | 自然観察日記
守門岳方向から反対の山が袴腰山。そこから伸びる尾根筋がヒメサユリの群生する小路で開花期はなかなかのもの圧巻です。
それはそうとこの尾根筋はマツが点在しています。多くはアカマツですが僅かにキタゴヨウも見られて、こんな低所にキタゴヨウが観察されると嬉しい気分です。アカマツの大木が枯れていましたが周囲には幼木も沢山見られてやがて回復するでしょう。