花では分かりにくくても葉を見ると大きな差がありますから、並べると一目瞭然です。オオバセンキュウは深山から亜高山に生育しますが、シラネセンキュウはもっと低山まで見られます。新潟県ではオオバセンキュウを見ることができる場所はほとんどありません。しかしシラネセンキュウは少し奥に入るとしばしば見られます。
この時目立った者の一つがオオバセンキュウ。シラネセンキュウを一回り大きくしたような種でややのっぽ。自然園の木道脇にもあちこちにあって最初疑っていた目にもしっかりと焼き付いて過去の記憶とすり合わせて納得したものでした。葉も繊細さがない二回三出複葉。この種の大きな群落を見たことがないので花が沢山ついている様子は分かりませんが点々とりっぱな花序がついていました。セリ科の花序はどれも同じようで、花や花序ではなかなか識別ができませんが葉や着き方で見極めることがいいようです。
花序だけではシラネセンキュウとの差異を見つけられません。やや大振りかなという程度。これもあまりあてないなりませんね。実はもう一種ミヤマセンキュウという種があって、これが登場すると混乱に拍車がかかりますが、葉の様子が異なるようですからセンキュウの仲間は葉で覚える方が簡単なようです。
ビジターセンターに着く手前の道路わきにルイヨウショウマの開花株がありました。ゴンドラ駅からの数百メートルの道路脇には面白い植物がいろいろとあり自然園の中にも劣らない草花が見られます。個体数や周囲の景観は劣りますからさっさと通り過ぎる人が多いのですが・・・。ルイヨウショウマにしては少し花が遅い気もしますがこの株は今が盛りで霧雨の中に白く浮かんでいます。
この花柄の花は立派です。開花期が遅れてしまった要因は何だったのでしょうか。私の記憶では7月が盛りのはずですから9月はかなり遅いことになります。教科書通りにならないところが自然の魅力でその理由をいろいろと推理する楽しさがあります。これから結実させて冷たい空気に覆われるまでに熟させて次の世代を作り上げるまでに大忙しで頑張らないといけない個体です。果たしてうまく行くのでしょうか。温暖化がこんなところまで影響している?なんて少々考え過ぎですね。
9月はじめ。何度か訪れている栂池自然園でもこの季節は今回が初めて。夏の盛りでは見られない草花や果実の様子などが観察できる季節です。ツルニンジンもそういう草花の一つでしょうか。比較的大きい花ですが周りに紛れて案外見つかりにくい花。釣り鐘型をした野趣味たっぷりの魅力的な花です。低山帯から亜高山帯まで生育しています。
キキョウ科のつる性の種で塊根が発達します。傷つくと白い乳液がでて独特な臭いがします。山菜として利用できると聞いて以前試しましたが調理の具合なのか私にはなじめないものでした。薬としては何か効きそうな気押しますが・・。
キキョウ科の実の形状をしていますが、花の割には扁平なもので本当に結実して種子ができているのだろうかと思ったりします。しかし、中には翼を持った種子が数十個レベルで入っています。この時期の果実は勲章のバッチに似ている気がしています。山の子供はこれをつけて遊んだりはしなかったのでしょうか?
大型の草本に混じって白い花が見え隠れ。オオレイジンソウが揺れていました。1m位にはなるキンポウゲ科の多年草。塊になって生えているわけではありませんが妙に目を引きます。トリカブトと近縁な種ですが全体的に女性的な草姿。ただこの個体はすっきりと立ち上がっているのではなく大型の草の間を縫うような茎でややうつ伏せになった様子であまり美しい草姿ではありませんでしたね。寝た花を起こして写真を撮りました。しみじみと花を眺めていると福禄寿の形に見えてきてしまいました。
実は、昨年の栂池自然園へ行った個人的な目的はその前年7月に訪れた際クロバナロウゲの葉を見つけたものの花を見ることができなかったとことが心残りでその機会をうかがっていたのです。写真でしか見たことがない花で私にとっては憧れの存在。前年自生地点を確認していましたから季節さえ合わせられれば目的は叶います。そして、ついにその機会が来たという次第。ただ、もう少しお天気に恵まれれば良かったのですが・・。
クロバナといえど黒い花はありませんから黒っぽい花ということのようでエンジ色を暗くしたような独特な色彩です。バラ科の花でキジムシロの仲間に近いようなコメントが・・。しかし、私にとっては全くの別物になって写りました。美しいというよりも不思議な花という印象でどんどん引き込まれるような感じです。大きさは2cm程度。花色は遠目では周囲に溶け込んでいて花が多くついている割には気づきにくい花でした。