タカネナナカマドの花序は下向きに咲く花をつけます。花数もあまり多くありません。果実も下向きについていてやや細長い形質になっています。
ナナカマドも沢山あります。タカネナナカマドとの比較として載せました。ナナカマドは低山から高山まで生育する垂直分布が大きい種です。七回竈に入れても燃えないという俗説がありますが、それは嘘でよく燃えるそうです。
コウモリソウ属の種がもう一種自生していました。カニコウモリより幾分大きめで葉がコウモリソウのように尖った葉片を持ちます。東北・北陸・近畿北部の日本海側の山地に生育する種だそうですが、私が歩いている範囲では新潟県内で気づいたことがありません。手元にある資料にもオオカニコウモリの採集記録はありません。
やはりコウモリソウ属の区別は葉で見るのが一番です。白山山域は日本海側の種とされるオオカニコウモリと太平洋側の種と考えられるコウモリソウが重なる地域のようです。地味な植物ですが興味深い点です。
イヌドウナより小型のコウモリソウ属の種が見られました。コウモリソウという種で新潟県内には自生していないと思われるものです。中腹の樹林帯にで見られたもので文献によると関東から近畿の深山に見らる種だそうです。白山の位置はやや日本海側に属するようですが新潟よりはずっと南でコウモリソウの生育地になっているようです。
頭花は少なめで全体的にまばらな円錐花序を作るとされます。コウモリソウ属の頭花はいずれもよく似ていてこれだけでは区別することが難しいものです。
コウモリソウ属の特定は丈の大きさと葉の形質によるのが最も適しています。コウモリソウは大体５裂して先が鋭く尖った葉片を持ちます。時に３裂の葉もありますが全体鋭角の三角形状をしています。
新潟にいると紫色のアキギリはとても珍しく感じます。新潟県内にも自生する場所はあるのですが、普段見慣れているのはキバナアキギリですからこの手の花は黄色と相場が決まっているのです。新潟の県境から西の方に分布する種とされますからなかなか接する機会がない種です。白山の登山道中腹で出会いました。
白山にもツルリンドウの2種の生活形を観ました。今まで何回か紹介してきましたが紹介した回数の割には出会うことが少ないものですから、再びですが載せました。テングノコヅチと名付けられた生活形は地を這う形質で草木に巻き付いて上には登りません。亜高山以上の樹林帯で見かけるタイプです。
花がありましたが天候のせいか開花していませんでした。地に接触しながら花を咲かせる性質があります。ツルリンドウに比べ幾分花が小さく感じられます。