急峻な山並みが秋葉街道に迫っている。土砂崩れがいつ起きてもおかしくない国道をひた走る。出発するときは雨が降っていたがなんとか雨は止んでくれた。6回目になるという浜松の奥庭・水窪の「じゃがた祭り」に初めて参加する。
過疎も急速に進んでいる「水窪」地域は最近地域おこしが盛んになってきている。その空気を吸ってみたいと杉のトンネルとゆったりした天竜川の景観に感動しながら現地に行く。
子どもたちの姿も目立った。往年は林業や鉱業でにぎわいのあった商店街に20軒近くが店を出している。主催者の一員であるNPO法人「こいねみさくぼ」は、うなぎパイの老舗の「春華堂」と一緒に在来種のアワの栽培をはじめている。それによって「雑穀の里」の地域育てをしようというものだ。
商店街のなかには蔵も立っていたが、どこを見ても平地は見当たらない。出店の中には小振りのジャガイモや「串ジャガ」やコロッケが多かった。それは地元の在来種「みさこぼジャガタ」を復活させようという背景がある。コロッケはお店の人から「ソースをかけないでそのまま食べたほうがうまいですよ」と言われて食べたら、たしかにサクサクしてうまーい絶品だった。
さらには、藤枝北高校の食品サイエンス部が、空き家を活かした農家民宿構想が計画され来年の4月には実現・開業するという。また、地域に住み込んで活躍している「山里いきいき応援隊」の存在もすばらしい。山々と天竜川の豊かさに育まれたこの地域に若い力が内在してきた意味は大きい。