ここ数週間、国道を走るとヤマユリが迎えてくれる。「ユリの女王」と言われるだけあって何度見てもあきない。しかも、コンクリートの崖壁からでさえど根性な姿を見せてくれる。山の狭い国道なので立ち止まって鑑賞したり、写真を取るのにも苦労する。花が重くて垂れ下がってしまい、車と接触して花弁がダメになってしまうことさえある。
古い株ほど多くの花をつけている。崖沿いにあるど根性ヤマユリは、種で育った実生のものに違いない。ふつう、種は4~500個も殻にあるというが、そのうち芽が出るのは1~2個なのだろう。その意味では貴重な生命でもある。花弁に帯状の筋が見られるが、普通は黄色が多いようだが、画像では紅が混じっている。「紅筋」は貴重種らしい。
この日本特産のヤマユリは、1873年のウィーン万博で注目され、明治から大正にかけては輸出用としてまさに花形となった。天竜区の国道にはこうしたヤマユリがさりげなく自生しているのが素晴らしい。幕末の日本にやってきた外国人はこうした風景を見て、日本は「田園国家」「園芸国家」と称したほど感動したのを忘れてはいけない。