月に2回ほどまちに食料のまとめ買いに行く。肉・魚・飲み物・お菓子など畑からは産出が難しいものが中心となる。なにしろ、住んでいるまわりには商店がないから、まちへ買い出しに行くには1時間以上はかかる。きょうの午前中は連日やっている草刈りを続けていたが、午後は雨の予報だったので急遽まちに買い出しに行くことにする。出発すると同時に強い雨が降りだした。遠くの赤い橋がかすかに見える。
地すべりした場所がすっぽり霧で隠されてしまっている。この霧のラインの高さが山のお茶の生産ベルト地帯でもある。お茶の旨みもこの霧のおかげでもある。
そのうちに、都会に近づくと道路が渇いていた。雨にびしょぬれになっての買い物を覚悟していたが、ほとんど濡れずに買い物ができた。世界とはかくも違うものかを体感する。しかし買い出しを終えてからの帰り、山里のわが家に近づくとともに急にスコールのような驟雨が行く手を襲う。
山水画のような幽玄な風景がまわりにセットされる。へたすると、1m先を歩くだけでもびしょぬれになる大雨になってきた。わが家に車を止めてから、脱兎のごとく自宅に荷物を運ぶが、水たまりと化した道を歩かなくてはならない。靴下が数十秒でびちょびちょとなる。けれど、南宋から来日した僧「牧谿」(モッケイ)なみの水墨画を見せてくれたのを良しとしよう。