春に植えた綿の苗からやっとワタができ始めた。スコップが入らないほどの硬い土だったので生きていること自体奇跡のようなものだ。今ごろになってその土に藁や糠などを撒いたが、最初から土づくりからやればよかったのだ。とはいえ、「オクラ」と同じような花が夏あたりからちらほら咲き出してくれた。
本来なら今ごろは白い綿花がはじけた風景がいっぱい見られる時期だったのに、花さえつけることができなかったのもいる。「綿花」とは、わたのことをいう。秋に咲く綿が花のようになるので命名される。たしかに混乱して使用していた。
綿のなかに種があるのでそれをとりだそうとするがなかなか取れない。そのくらい綿の繊維が強いのだ。種をしっかり防御しているのが綿花なのだ。その力を人間は衣服に利用してきた。
一つの綿花のなかに、10粒の種が包まれていた。純オーガニックコットンのブランド「メイドインアース」を作っているKK「チーム・オースリー」が、在来種の「和綿」を守ろうとプロジェクトを結成した。企業のそうした努力はなかなかニュースにならないのが残念。いま栽培している綿が和綿かどうかさえまだ分からない。植民地ではなく日本で育ててきた綿花栽培の伝統を、その遺産を、継承しようとする趣旨に敬意を表したい。