MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『脳内ポイズンベリー』

2015-08-08 00:03:09 | goo映画レビュー

原題:『脳内ポイズンベリー』
監督:佐藤祐市
脚本:相沢友子
撮影:清久素延
出演:真木よう子/古川雄輝/西島秀俊/神木隆之介/吉田羊/浅野和之/桜田ひより
2015年/日本

見かけによらない「衝動」の強さについて

 不幸にも同時期に公開されている『インサイド・ヘッド』(ピート・ドクター監督 2015年)とネタがまる被りの本作が辛うじて救われた理由は、『インサイド・ヘッド』の主人公のライリー・アンダーソンの脳内には「ヨロコビ」「イカリ」「ムカムカ」「ビビリ」「カナシミ」がおり、さすが11歳らしい感情に支配されているのに対して、本作の主人公の櫻井いちこの脳内に存在する「理性」「ポジティブ」「ネガティブ」「記憶」「衝動」がいかにも30歳らしく、設定は同じでも世代が違っていることにある。
 いちこの脳内の彼らの会議をメインとする本作が意外と真実をついていると思う理由は、結局、会議の内容が全てハトコの「衝動」をどのようにコントロールしていくかに終始しているからで、逆に言うならばハトコの「衝動」に引っかからない人物は、いちこの仕事相手の越智のように交際する相手として条件は理想的ではあっても実際は無視も同然の扱いで、クライマックスで越智が我慢の限界で怒りが爆発したことは分かるが、だからといっていちこの気持ちが動くことは微塵もなく、恋愛の残酷さが的確に描かれていると思うのである。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする