原題:『口と拳』
監督:溝口道勇
脚本:溝口道勇/塩川孝良
撮影:倉本光佑
出演:高木千花/塩川フレディ/いいぐちみほ/深沢謙司/さとし/道廣オリヴィエ一真
2017年/日本
(SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2018)
口も拳も活躍し損なった作品について
ピンサロで働く茜と「殴られ屋」として日銭を稼ぐ緑川光夫がたまたま出会いバイクに乗って都会を逃げ出していく物語である。「口」を使って働く茜と「拳」で殴られる光夫の物語がタイトルとなっているのだが、口も拳もそれほどストーリーに深く関わってこない。例えば、茜と光夫が「殴り料」として千円札を投げつけ合いながら殴り合うシーンなど面白いと思ったが、スラップスティックと言えるまで昇華していないし、ラストもホテルから一人で出て来る茜が、待っている警察を無視して行ってしまうシーンも演出に工夫が無くて笑えず、短編としては49分というやや長い本作はただ重たい空気が流れるだけである。