現在、国立新美術館では「ルーブル美術館展 肖像芸術 - 人は人をどう表現してきたのか」という企画展が催されている。かなり期待して観に行ったのだが、意外と古代の彫像が多く、近代以降の絵画が少なかった。
気になった作品としてジャン=オーギュスト=ドミニク・アングル(Dominique Ingres)の『フランス王太子、オルレアン公フェルディナン=フィリップ・ド・ブルボン=オルレアンの肖像(Portrait du duc d’Orléans)』(1842年)がある。
このオルレアン公のズボンを見た時に、エドゥアール・マネ(Édouard Manet)の『笛を吹く少年(Le Joueur de fifre)』(1866年)を思い出した。
『笛を吹く少年』の背景に関してはディエゴ・ベラスケス(Diego Velázquez)の『道化師パブロ・デ・ヴァリャドリード(Pablo de Valladolid)』(1632年 - 1637年)の影響が指摘されている。
しかし『笛を吹く少年』と『オルレアンの肖像』の類似性に関しては今のところ何の言及もされていないのだが、マネがアングルの作品を知らないはずはなく、『笛を吹く少年』の少年のズボンの描写の特異さは指摘されているのだから関連していると思うのだが、根拠が見つからなかった。