原題:『El olvido que seremos』 英題:『Forgotten We'll Be』
監督:フェルナンド・トルエバ
脚本:ダビド・トルエバ
撮影:セルヒオ・イバン・カスターニョ
出演:ハビエル・カマラ/ニコラス・レジェス・カノ/フアン・パブロ・ウレゴ/パトリシア・タマヨ
2020年/コロンビア
コロンビアのヒーローについて
主人公はコロンビアのメデジンの大学教授で公衆衛生の向上に尽力したエクトル・アバド・ゴメス博士で、その一人息子のエクトル・アバド・ファシオリンセが父親の思い出を綴った小説を原作としている。
時代は1971年と1983年を行き来しながら、つまりキキン(息子のエクトル)が子供の頃とイタリアに留学していた頃の出来事が描かれる。アバド・ゴメス博士がキキンと一緒に観に行った映画は『ベニスに死す』(ルキノ・ヴィスコンティ監督 1971年)で、映画の内容が分からないキキンは熟睡してしまうのであるが、1983年にも博士はテレビで『ベニスに死す』を観ているシーンが映される。博士は『ベニスに死す』を究極の美を描いたものだと語っているがそれは間違いなく、本来は博士は文学的な人なのだと思う。ギターでローリング・ストーンズの「ルビー・チューズデイ(Ruby Tuesday)」を弾き語りする娘のマルタがメラノーマを患って亡くなったあたりから、政治活動を活発化して、メデジンの市長選挙に出馬することになるのだが、テロ組織に暗殺されてしまうのである。
しかし本作は決して清廉潔白な人物として博士を描いてはいない。例えば、キキンが友人を乗せて車を運転していた時に、女性を轢いてしまう。かなりの重症を負わせてしまったのだが、キキンは精神病院に入ることで刑を逃れるものの、精神疾患を患っている人々との暮らしが我慢できなくなったキキンは父親に頼んで出してもらうのである。しかし博士は女性に対して手厚いケアを施しており、さらに女性の息子に職を斡旋することで、被害者にかなり感謝されているために問題にならないのである。コロンビア特有の社会事情が独特のモラルを生み出しているところが興味深いのである。
The Rolling Stones - Ruby Tuesday (Official Lyric Video)
The Rolling Stones - Ruby Tuesday (Live) - Official 1991
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