原題:『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』
監督:上田慎一郎
脚本:上田慎一郎/岩下悠子
撮影:山本周平
出演:内野聖陽/岡田将生/川栄李奈/森川葵/後藤剛範/上川周作/真矢ミキ/鈴木聖奈/吹越満/小澤征悦
2024年/日本
様々な「癖」について
決して悪い作品ではないが、『スティング』(ジョージ・ロイ・ヒル監督 1973年)や『オーシャンズ11』(スティーヴン・ソダーバーグ監督 2001年)などの傑作を観ている者としてはどうしても観賞のハードルを高めに設定しがちな癖がついてしまっている。例えば、主人公で税務署に勤める熊沢二郎が橘と大金を賭けてビリヤードで勝負するのであるが、キューボールの奇妙な動きに不信を持ったように見えた橘が何故バーテンダーを疑うことになるのかよく分からないし、詳細は控えるが最後に明かされる仲間の立場は橘の不法行為を詳らかにできるのだから、そもそもわざわざ危ない橋を渡る必要があったのだろうかという話になってしまわないだろうか?
それよりも興味深いことはこれまでのフィルモグラフィーを見ると上田監督は他人の作品に刺激されて自身の作品をつくり上げがちということである。その癖は決して悪いことではないけれど。