
現在、東京都美術館で催されている『ボストン美術館の至宝展』の「フランス絵画」のコーナー
ではジャン=フランソワ・ミレー(Jean-François Millet)が1862年から66年頃に描いた
「洋梨(Pears)」が展示してあるのだが、そのキャプションが気になった。3点しか知られて
いないミレーの静物画の一つである「洋梨(Pears)」のキャプションには「『ジャガイモは、
ザクロの実に劣っているなどと言えるだろうか?』と述べたミレーは、高価な果物や花ではなく、
どこにでもあるような洋梨のなかにも美を見出した。」と書かれていたのであるが、ザクロの実が
高価だと思えないのである。引用元が不明で、文章の前後も分からないので個人的な推測の域を
出ないのであるが、ミレーの真意は色鮮やかなザクロの実に比べてジャガイモは見た目が地味
ではあるが、それでも描写対象として劣っているとは言えないということだと思うのである。
(『編み物の稽古(Knitting Lesson)』1854年頃)