原題:『侍タイムスリッパ―』
監督:安田淳一
脚本:安田淳一
撮影:安田淳一
出演:山口馬木也/冨家ノリマサ/沙倉ゆうの/峰欄太郎/庄野﨑謙/紅萬子/井上肇/田村ツトム/高寺裕司/安藤彰則
2024年/日本
インディーズ映画の「あるある」について
登場人物たちがいわゆる「ガラケー」を使っているので不思議に思っていたら、黒船襲来から140年と謳ったポスターが映されて、そうなると大政奉還から140年経っているとするならば2007年だからガラケーなのだと納得できるし、1996年頃からテレビ時代劇のレギュラー枠が減少し始めたとするならば、主人公の高坂新左衛門の敵役である風見恭一郎が10年前に時代劇から退いた理由も頷ける。
『マルサの女』『大病人』『スーパーの女』など伊丹十三監督のヴィデオが映される。それは伊丹監督も50歳を過ぎてから映画監督デビューしたという共通点と、作風も好みということのオマージュなのだろうが、もちろん撮影機器の飛躍的な発達ということはあるとしても、伊丹監督に引けを取らないクオリティーの高さを感じる。
本作に関して、二人が真剣を使い出した時点で監督は止めなければならないというレビューを目にしたのだが、それを言うならばそもそも侍が現代にタイムスリップしてくること自体が非現実なのだからこんな映画を観てはいけないのである。
インディペンデント映画の「あるある」としてカメラを止めてはいけないということはよく分かった。