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原題:『うちの執事が言うことには』
監督:久万真路
脚本:青島武
撮影:小林元
出演:永瀬廉/清原翔/神宮寺勇太/優希美青/神尾楓珠/田辺桃子/村上淳/原日出子/奥田瑛二
2019年/日本
名探偵コナンになりきれない第27代当主について
主役の演技の問題は不問としたとしても脚本の問題は指摘しておかなければならないと思う。主人公の烏丸花穎が芽雛川肇大が主宰するパーティーに参加した際に、赤目刻弥の彼女の莉沙がトイレで襲われる事件が起こり、そこに最初に駆けつけた花穎が疑われるのだが、血を流して倒れている莉沙を別室に運ぶ時に、莉沙のバッグを一緒にもっていかなかったのは脚本ではなく演出の問題であろうし、雪倉叶絵がバスから降りた時に、スリだと言いがかりをつけられ、実際に叶絵のカバンから男性の財布が見つかり、警察に連れていかれるのだが、叶絵は男性の財布に触れていないので財布についている指紋を調べれば叶絵が無実であることは分かるという点に関しても脚本よりも演出の問題なのかもしれない。
烏丸花穎と赤目刻弥の、埋もれた絵画「アフター・ザ・レイン(After The Rain)」を巡る葛藤はその作品が贋作だったという点なのだが、基本的に贋作というものは名を馳せた画家の作品をもとに制作するからこそ売れるのであって、無名の画家の贋作を制作する意図が分からない。これは脚本の問題と言えるであろうが、そもそもバルビゾン派の作風のような「アフター・ザ・レイン」がそれほど素晴らしい作品とも思えないのである。