ようやく棚田の全面を耕起出来た。昨年来、取り残していた棚田は7メートル×15メートルあり、ほぼ100㎡だから33坪相当で6枚のうち最大の面積がある。
見ただけで意気消沈する広さに感じていた。何時までも不耕起のままでも置けないから三本鍬1本で二日間ヒイヒイやった成果である。畦の脇は補強の泥を掘り取ったため土を寄せねばならず、鍬で投げ込むたびに泥しぶきが上がり、体の全面は泥だらけになった。
思い返すまでもなく父祖の時代は全てがこのやり方だったのだから先祖がえりしたとでもいえようか。全面耕起するにあたって、それなりの決意が必要だったから「田植え足袋」を購入して履いた。長靴では動きに無駄が出るためだ。
田植え足袋を履いて作業をすると、その快適性は直ちに感じ取れた。足の運びが軽やかなのである。立っていても素足より安定感がある。
何よりも足裏は歩行のためだけでなく、素晴らしい感覚器でもあることを実感した田作業であった。泥の状態、田んぼの温度、葦の根茎や埋蔵物など手に取るように、ではなくて足でダイレクトに理解できるのだった。こういう体験は子ども時代に必要だと思うのは懐古趣味だろうか…。
作業としては植樹より負担が少なかったが、明日はご褒美で「休日、休日」と思いつつ鍬をふるったのだった。こういう自己完結は少々侘しい。