玄関前のフィジョアの木に、朝になるとスズメの雛が来ている。もう三日目だ。
目の高さだし、距離も1メートルまで近づいても逃げない。対面することは無く背を向けたままで、親鳥は近くにいないらしく警戒音もないから静かなものだ。
こんな間近で雛をジックリ見たのは久しぶりで数十年ぶり位になろうか。嘴の黄色と巣立った直後の痩せた小柄な感じが何ともかわいい。
少年の頃、パチンコを持って木造駅舎の周辺の桜の木にいる雛を撃っていた事を思い出した。まだ駅前通りも舗装路ではなく、玉にする小石は幾らでも調達できたのだ。パチンコ本体はモミジの木、ゴムは丸ゴム、タマを載せる部分はヤギの皮、など子どもなりにこだわりがあって製作していた様に思う。
今、思い出しても謎なのだが命中すると手ごたえが感じられるのだった。「やったあ!」というのは快感だったし、今風のバーチャルなゲームとは格違いのローカル、ローテクではあったが、今時と重ねると子ども達にはバーチャルでない遊びがなくて可哀相でもある。
パチンコで撃った一日の記録は、たしか20匹を超えていたと記憶するが、思えば可哀相なことをした。おいらも雛だった遠い頃の事だ。