一月に入って胸高直系30cmほどのヒノキが根こそぎ倒れてしまった。樹長15m、根株の最大径は4尺ほどしかない。覗いてみても直根はなく、パイを床に落としたような形でしかないのだ。これでは容易に倒れるはずである。
この林内は一昨年に侵入竹除伐は終了しているが、林床の表土は無く、砂礫交じりの地表だ。これでは土壌の支持力もある訳がないのだ。フイールド内の倒木の多くは「根こそぎ」なのである。
20年以上、孟宗竹に日光を奪われ続けてきた森は、完満には程遠い木姿であるけれども、筋はしっかりと伸びて使える状態にまで育ってくれた。これから大径木に育てようかというところだったのだが、今後もこのように倒木となる木が出てくるのであろう。薄い砂礫層の下は粘板岩だから上部の急斜面には地すべり痕が見える。
ともかく誰もいない時に倒れてくれてホッとしたが、まだ緑濃い葉を見ていると可哀相でもある。原因を「表土流出」として孟宗竹に求めるのは簡単だけれども、一方では土地と樹種の組み合わせ不適格で植えられた悲劇でもあるだろう。このような事は土壌環境から今後も不可避の事態でもあるのだ。