夏ワラビ採る人もなき声も無き
青芒触れて血の筋ちから瘤
夏ヨモギわが身を越えて刈るを待つ
刈り払い土手に沈めば草いきれ
夏萩と呼ぶや立秋前の花
泥水地の除草作業に取りかかろうと現地で道具を置く時にやってしまった。油断と言うか注意散漫だったのだろう。
車から道具を揃えて携行する時に、至近だから鎌の鞘を外して水筒と一緒に持ったのだが、置こうと右手で持ち替えた時に刃が近すぎて左の中指に当たったのである。
コナギを引き抜くには水底が泥化しておらず、粘土質そのもので固く、鎌で生え際から刈り取る心算だった。そのため鎌も「軟らかい草用」の薄刃の草刈り鎌を用意したのだが、これはかみそりの様に切れ味を鋭くしてある。チョンと当たっただけなのにすっぱりと深く刃が入ってしまった。
これで万事休す。傷があるのに泥水に漬ける訳には行かない。草刈り機での刈り払い作業と言う選択肢もあるのだが、受傷を押して作業しても癒合が遅くなるだけだから、思い切って帰宅する。二度も蜂に刺され、虫歯が病んで、その上切創だ。この夏は痛いことが多い夏だ。
前向きに「休みなさい」の思し召しと言い聞かせる帰路だったけど、人生、不惑には程遠く、その上深い。まったく「深くの至り」で情けない。