至近の松の周囲をオオスズメバチがゆっくり飛行して離れないから、目を離さず警戒していたら、それは突然飛びかかったのだ。もう「勇猛果敢」と言うしかなかったが、目撃したのは数回あって、撮影できたのは今回がお初である。
狩りの餌食になったのは大きなジョロウグモだ。蜘蛛は糸を繰り出す間もなく、電光石火、脚を外され頭部に喰いつかれた。頭部と胸部を噛み砕き、肉団子にしている様子を見る事が出来たが、腹部は最終的には切り離して落下させた。中央の写真に蜘蛛の腹部が写っているが、蜘蛛の体長は腹部の倍と思って良いだろう。
その間も、自分の翅や身体には蜘蛛の糸が絡みついたままだ。狩りで肉団子を作る様子は珍しくもないから、興味の中心は「どうして網から逃れるのか…」に尽きるが、その瞬間はあっけなかった。「あっ!」と思う間もなく飛び立っていった。そう、脱毛はいつもあっけない…。
昆虫界の食物連鎖の頂点にいるオオスズメバチ、鳥類で言えば猛禽類のように比類の無い狩りの能力を見せてくれる。神々しいばかりで、怖いけど素晴らしい。