郷里の次兄からアケビが送られてきた。春にはアケビの新芽、コゴミやフキノトウなどの山菜が届く。郷里を離れて半世紀になる小生でも、これらは郷里での少年期に時空を引き戻す季節の便りになっている。
単に「懐かしい」という郷愁の感覚だけでなく、幼い頃から食べなれた旬そのものの食材である。当地は降雪などないし、周囲は常緑樹か針葉樹の森が多いので、里山里地からの恵みは限定的だ。降雪地帯でない事は雪の苦労が無い事だけれど、また「春の喜び」も無いのである。雪の無い地域に住んで「雪の恵み」の大きさを実感している。
小生、ある時期は山に分け入って、キノコや山葡萄、サルナシなど秋の恵みを堪能したのだけれど、不意の呼び出しに備えなければならなくなってからは出かける事もなくなった。現在は里山の手入れで手一杯で、山の恵みを求めてでかける事も無い。だから、いっそう心ときめく季節の便りなのだ。