大汗をかきながら堤を胴突きして固めていたら肘のところがこそばゆい。目をやったら黒いアゲハが止まって口を伸ばして汗をなめている。すでに翅の輝きも形も失われているがカラスアゲハのようだった。
仕方がないから作業を中断し、しばし休息タイムをとる。休息すれば汗は引っ込むから逃げてくれるかと思ったものの、すでに飛翔能力が落ちた蝶は小生から離れない。申し訳なかったが近くの枝に移させてもらった。タテハチョウの仲間は汗を吸いに来ることが多いが黒いアゲハは初めてだ。
翌朝、作業のために横を通ったら地面に落ちて息絶えていた。十二分に良く生きたであろう事は姿で判る。蝶にとっては小休止では無く大団円で、小生の汗が末期の水だった。南無阿弥陀仏 。