トロルお爺の”Satoyaman”林住記

生物生産緑地にて里山栗栄太が記す尻まくりワールド戯作帳

美体のよろめき

2020-09-26 | 今日は真面目に
 水域の護岸用に丸太材が10本ほど必要なのだが作業が大事になるので先送りしていた。暑さも一段落しYさんも1本欲しいと言うので1日を間伐に充てた。まあ間伐と言うより放置林内から適径木を伐り出してくるのだ。下側から林内を見上げれば「あれが良さそう」と指させる樹はあっても、近寄ってみれば大きめの物ばかりで、周辺にはこれらより小さい径は無いから結局は伐採することになる。目当てとしては3.5m10本が欲しいけれど、今回とりあえず2本の伐採で済ました。

 3.5m10本にはならないけれど、すぐ着手でも無いので必要になったら再度林内作業をすればよい。最初の一本も2本目もまっすぐ立ち上がってはいたものの太れない環境なので上部で枝葉の重みでしなっている。そのため伐倒方向に制限があって1本目は掛かり木となってしまった。用意していた牽引器で曳いて落としたものの、この作業は汗が出る。レバーを往復させてもワイヤーロープを送れる長さは5cm程度なのだ。「セッセッセのヨイヨイヨイ!」とばかりハンドルを動かし、所定の長さで切断できる位置で切断、更に曳いて切断、と結構手間を喰う作業になった。もう息絶え絶えだ。

 この「掛かり木」状態で元から切断していく作業は危険で「厳禁」な作業なのだけれど、現場においては「危険で禁止作業」に類する内容でも「やらざるを得ない」のは多々あるのだ。「やってはいけない行為」であっても「掛かり木を放置」では長らく危険状態を温存する事になる。「やるべきか、やらざるべきか」なんて舞台の台詞では解決がつかない。

 そのあとは0.3馬力の曳き馬になって斜面を曳いて林道へ落とす。林道からは作業予定の水域まで曳き馬で、もうこれだけでヨレヨレなのだった。最高気温は久しぶりに30℃を下回ったとはいえ蒸し暑さは変わらず、水分補給をチビチビとやりながらの作業になった。
 泥浚いも林内作業も半日程度なら継続できる意欲はあるから作業は続けるものの、やはり「歳相応」の部分も認めなくてはならない。それが「美体のよろめき」になって表れている。まあ「媚態のよろめき」とは完全無縁な我が人生だ。

 邦画に「美徳のよろめき」なんてのがあったが主演は若尾文子だったか。修学旅行で日劇ミュージックホールで見た映画は「それ」ではなかったのだが宿で逢引するシーン、襖を開けた時の深紅の布団が強烈で今でも鮮明だ。題名も主演も今は記憶にないけれど真っ赤な寝具は覚えている。引率の先生方にしても田舎の中学生に逢引映画の上映は「オッタマゲー」だった事だろう。そのあとは名物のラインダンスで田舎の中学生には再び鼻血もんの舞台の追い打ちであった。これこそ「修学旅行」の真価であろうぞ。ここから吾輩は「思春期」に入ったのだった。

          1本目掛かり木  ➡   2本目は落ちた  ➡   林道へ搬出