フイールドの見回りをしても生物の姿は少なくなった。楽しみにしていたトンボもマユタテアカネとオオアオイトトンボだけになってしまったようだ。飛翔を眺められるのも日当たりの良いトンボ池周囲だけで既に山の陰になっている所ではニホンアカガエルが跳び出るくらいである。この日は「でかいトンボだ、ヤンマか⁉」と追っていたらお繋がりしているマユタテアカネで、これはこれでガッカリしてしまう。特に強調しておきたいのはカップルを羨んでいる訳でも無い「この寒いのにご苦労さん!」とねぎらう気持ちがあるのだ、という事にしておこう。
そんなカップルを指はくわえないけれどカメラを構えて見てたら頭上のネザサから垂れ下がった蔓にオオアオイトトンボが止まったのだ。丁度顔前40cmほどのところで優しいトンボなのである。老眼の小生に丁度明視距離で止まってくれたのだった。まあ人生、見せつける輩もいればご老体に配慮し、さりげなくおもてなしをしてくれる輩もいる。しかし、ここで忘れてはならないのは小生が好きなのはマユタテアカネで、出自が魚沼の雅な米作百姓に通じるマユタテ化粧があるからなのだ。それに引き換え、オオアオイトトンボは暑い盛りは涼しい林内の暗がりに潜み寒くなると温く溜まりにこぞって現れる根性が嫌いだ。しかし、この二種は師走まで殿を競うトンボなので区別も差別もしない。ただその期の終見日を記録したいのであるが、この二種だけとなるともうトンボの季節は終わりでもある。