一旦は「完了した!」と考えたものの翌日には朝令暮改ならぬ朝改暮疲になってしまった。近くで調達できる用土は水を切った浚渫土と掘り上げた土だけなので放流路の堤上端面を揃えられなかったのである。もともと沈泥池を設えた部分はV字侵食溝で、低い丸太ダムから始まり年々浚渫土を蓄積して漸く現在の平坦部までになったのだがまだ塩ビ管を埋めた堤の上端面は高さが不足したままなのだった。
「せっかくここまで仕上げたのだから…」と思い直しもう一日を上端面の嵩上げに使ったのである。用土は200mほど離れた上の池近くの山腹流土から採土するので一輪車で往復しなければならない。長靴だと足元が安定しないので濡れる場所でも無いからスパイク付きの地下足袋を履いての作業である。やはりスパイク付き地下足袋は足さばきも歩行安定性も長靴に勝る。スパイク付きの長靴も以前は使用してみたが舗装路やコンビニ店内のフロアーでは非常に滑りやすく危険なので止めたのだった。かといって現場で履き替えるのも面倒で、と言いながらも今回は安全優先で履き替えたのだった。長靴の危うさは靴の中で甲を支える状態に無く足が靴の中で踊るのが危ないし使用感も悪い。
それはともかくスパイク付き地下足袋のお蔭で歩行は快適、呼吸は早いけれど必要な用土を運び一応は放水路までの堤上端面を揃える事が出来た。これで増水しても越流で今回埋設部の土流出は今までよりも避けられるはずだ。ついでに放流路の浅くなった部分を削り堤の上端へ敷いた。その上で胴突きを行い一件落着である。まっこと祝着至極であるものの別の視点では執着地獄でもあったわい。