羽化途中落ちたるセミの縮れ翅
蟻の群れカブト残して晩夏なり
巣の下の糞にトンボは螺旋落ち
子かまきり網戸に逃げる雨の朝
枯れ松がシンボルとなるその浪費
真竹を全伐した産廃埋土跡は、春から何回地際から刈り払ったか覚えていない。小生が3回、O氏は2回の少なくとも5回は刈り払いをしたはずである。
それでも「倍返し」するかのように萌芽してくる。孟宗竹とは異なり、その再萌芽力は凄まじいものがあり、会友共々「やらねければ良かった」と愚痴のひとつも出ようというもの。
埋設土の下は瓦の破片なので植樹しても育つかどうか心もとないけれど、「サイは投げられた」のだから「サジを投げる」訳にもいかず続けるしかない。これも「身から出た錆び」みたいなものなのだろう。悔しいから菜種を全面に播種しちゃいたい。イエローカード・黄信号の心算で…。
花の香りに埋もれて、この鬱憤が晴れるといいが…。
久しぶりに子供達がやってきた。小生は作業開始前に、たまたまシマヘビと出合ったから駐車場まで戻りみせてやったのだが「優しい蛇だから…」と声かけし促して触れてきたのは半分。残りの半分は母親の後に隠れる子と、車内に戻ってしまう子に別れてしまった。蛇の大きさ中程度、それでも体長は1mを超えている。
2~3歳児では、初めての実物だったようで、触れることが出来た子ども達は放す場所までついて来た。遊び半分で「シマヘビさんは駐車場に戻る、それとも木陰に入る?」と投げかけたら、全員が、といっても4人だったが木陰を指差したのには驚いた。理解する何かがあるのだろう。
しかし、捕獲した蛇の達観しているかのような穏やかな表情は、いつも感心する。
擁壁で隔てられた斜面からは通年絞り水が滴っている。この水は擁壁の切れ目から林道に流れ出ていた捨て水だったのだが、擁壁の水抜き穴に誘導すれば泥水地へ流せる事が判ったから、絞り水の流路を変更し水抜きパイプの裏側を掘り下げて導水した。
この水量は毎分1?で、林道を流れ下ってきた水と合わせ毎分2.4?を止水域へ給水できた。毎分2?としても1時間で120リットル、24時間では2880リットルとなる。チョボチョボ水だけれど通年を通して給水できるから、1日2tを越える水は泥水地のカラカラ乾燥化を防ぐことに役立つはずである。これで最低限のお湿りは必須の、小さい生物の生存率が上がるはずだ。
でもその一方では、厳冬期に於ける林道の氷結材料を断ってしまった訳だから、小さい子ども達のお滑りの機会を奪ってしまった事になる。これについては「知らぬ顔の半兵衛」を決め込む心算だけれど、「あちらを立てればこちらが立たず」の場面では最終的には命が優先する。
つんつんつんキイトトンボの舞う水辺
水張れば雲下に見てトンボ行く
缶けりをしたかのようにトンボ散り
合コンのごとき棚田のアキアカネ
ギンヤンマ水没しつつ産む卵
猪が荒らした堤の補修をしていたら会友のM氏がご夫婦でやってきた。奥さんの仕事が休みで一緒に見えたのだ。差し入れでこだま西瓜を半分持ってきた。作業小屋の前で栽培した貴重な一果の半分だった。
今日も朝から真夏日で、既に作業服は汗ビッショリの状態だったから、冷えた西瓜はことのほかあり難い差し入れだ。10時に半分、昼食後のデザートに半分食べて満足この上ない。
郷里にいた頃は、西瓜やプリンスメロンなど玄関先に積んであったから、好きなだけ好きなような食べ方が出来たけれど、もう帰省しても、そんな贅沢は出来ない。だからン十年ぶりの贅沢な食べ方をしたのだと言える。その「八色西瓜」の生産地であった原は見渡す限り水田に変わった。
大きな一切れは、上下の前歯を使って赤い部分を綺麗に削り取って食べながら、種は処かまわず吹き出す。コダマ西瓜とは言え、1/4切れの中央部まで前歯で削り取るのは難しい。そこで思い出した。畑で食べる時は鎌で切り割っていた事を…。生暖かくても畑で食べる西瓜は、また別の美味しさがあったなあ。
奮い行くポリさん飛び降る岩の音
島上がる容顔蒼し殺気顔
あたふたと蒼く赤くの日障期
竹島や強者どもの夢の勝ち
海路きて何やらかすも送り出し
迷決や島をめぐりて世もすがら
官憲の仕切りで殺す危地の声
トットッとキュウリとナスで送る夏 トロル選
小屋の外壁に蟷螂がいた。腹部がへらの様に平たいし翅が伸びきっていないから、まだ幼体のようだ。それでも体長は150mmほどはあった。
視線の先にはコガネグモの巣があって襲う機会を待っている様子だ。距離は50cmほどあったから、安心して昼飯を一口二口と食べている間に喰らいついていた。向こうも食欲、こっちも食欲。蟷螂は獲物をしとめたけれど、小生はしとめる瞬間を逃してしまった。
生物の撮影は待つことが肝要な事ぐらい承知はしているが、自分にも寛容だから、ついつい給餌を優先してしまう。バッタ類を食べる時は「バリバリ」と音が聞こえるが、さすがにクモでは音まで発生しない。何時見ても、どの昆虫でも食べる時は頭部からで、覗き込んでいたら凄まれてしまった。
泥水地の周囲に植えた水稲が出穂して生育状態は良好のようだが、稲に囲まれた内部は草原状態になってしまった。ミズキンバイがここまで繁殖するとは想定外だった。水面が全く見えない密度なのである。
ミズキンバイは葉が食害されてボリューム自体は減ったものの、下になっていたコナギの生育もすこぶるよろしい。これでは水辺の生物は大迷惑で生存権に関わる事態だ。晩秋に枯れてしまえば水質悪化をもたらす。
コナギは大群落に育つことは棚田での体験で承知なのだが、ミズキンバイの席捲ぶりもひどいものである。絶滅危惧種とは言え、水辺の環境を維持するためには総て除草しなければならないだろう。「絶滅危惧種」という事が気になるが、環境悪化を防ぎ全体最適化を図るにはつつましくしてもらうしかないなあ…。