今日は防災の日。
東京都は「首都直下型地震」に備えて、昨日、防災訓練を行ったようだ。自衛隊はもとより、台湾、韓国からもレスキュー隊が参加したという。
だが、東京都の防災対策は、思いのほかずさんなもののようだ。
昭文社という地図関係の出版社からは、災害時の「帰宅支援マップ」という本が出ていて、結構な売れ行きだそうだ。ウィークデイの日中、首都直下型地震が起きた場合、職場から帰宅できない人が、数百万人に及ぶとされている。その「帰宅困難者」に徒歩の帰宅ルートや公共施設の所在を示すのが、この本の目的である。
http://www.mapple.co.jp/publ/kitakushien2.html
都政に詳しい知人の話では、この本の中に多くの都立学校が「帰宅困難者支援施設」として表示されているそうだ。△△街道沿いには都立○○高校があると表示されているので、これを見た「帰宅困難者」は、当然、なにがしかの「支援」が受けられると思い、その場所に向かうことだろう。
しかしながら、肝心の都立学校には、何の備蓄品や人的対応の用意もないのだそうだ。これは驚くべきことだ。
学校を所管する東京都教育庁は、この実態を見て見ぬふりをしていて、現場に責任を押しつけていると聞く。
大分県の教員採用汚職に見られるように、地方行政組織の中でも、教育委員会は最も閉鎖的で、職員の資質も劣るというのが常識だ。首長(知事)からはワンクッションある「行政委員会」制度を隠れ蓑に、何か問題が起きれば、すべて学校現場に責任を押しつけ、自らの責任を問うことはないのだから、まともな組織になりうるはずもない。
地震等の非常時に関しては、東京都全体で対応しなければならない。だが教育庁は、「帰宅困難者支援施設」に都立学校が指定されているにもかかわらず、何の対策も施していないのだ。
東京直下地震が起きて、帰宅困難者が都立学校に殺到し、悲惨な事故でも起きた時、都教育庁幹部は、誰に責任をなすりつけるつもりなのか。
石原知事は、都政の末端の「局」である教育庁で、こういういい加減さがまかり通っていることを知っているのだろうか。
都教育委員会は、身内の防災行政の足を引っ張るようなことまでしているのだ。
「帰宅困難者」の皆さんには、くれぐれも都の防災対策を鵜呑みにしないように、ご注意申し上げたい。