石原都知事が訪問先の米国で「東京都が尖閣諸島を買い取る」ことを明らかにした。このニュースはTVなどのマスメディアで大々的に採り上げられている。昨晩の「報道ステーション」では、この石原発言をどう思うかと「北京市民」に街頭インタビューしていたのには驚いた。北京の中国人女性が「両国でよく話し合った方が良い」とかコメントをしているのを見て思わず吹き出してしまった。こんな「穏当な」意見は、極めて少数派だろう。大多数の中国人は、石原知事を非難して、尖閣諸島は中国の領土だと主張するに違いない。それなのに「テレ朝」は、わざわざこのコメントを採り上げたのだ。
私が見た限り、「街の声」を「北京市民」に聴いたのは、テレ朝だけだった。共産党一党独裁国家で、言論の自由が一切ない中国で、何故、「街の声」などを聴こうとするのか。東京地方ローカルのTVニュースでは、街角の都民にインタビューしていて、7人の意見が放送された。うち4人が石原知事の発言を全面的に肯定、「税金のムダ遣い」云々という理由で反対したのは一人だけだった。これがおおよその「世論」動向なのだろう。しかるに、「テレ朝」 は、何故、こんなアホなニュースを流したのだろうか。
「朝日新聞」が説く「ご高説」は、何事にも「論議を尽くして」話し合い「平和理に」解決せよというものだ。4月18日の社説では、石原知事の発言は「無責任だ」として、噛みついた。(下記参照) だが、共産党独裁国家や「ならずもの国家」を相手に、こんな説教は一切通用するはずもない。「朝日」の主張は、憲法前文が謳う「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」と軌を一にしていることは明らかだ。自虐史観に呪縛され「属国の平和」に甘んじたマスメディアは、ここまで退化してしまったのかと思わざるをえない。
今朝も「テレ朝」は、「環球時報」などの中国メディアが石原知事を非難していると何度も放送している。「中国が本州も四国も、日本中を買ってしまえ」という中国ネット上に書き込みもわざわざ紹介している。
中国の無理難題には決して逆らうな、中国を刺激する石原のような人物は平和を乱す危険人物だというのが、「朝日」の基本的立場なのだろう。一体、どこの国のマスメディアなのだろうか。
尖閣買い上げ―石原発言は無責任だ
「朝日新聞」4月18日社説
石原慎太郎・東京都知事がきのう、米・ワシントンで、沖縄県の尖閣諸島を都が購入する計画だと明らかにした。日本の領土なのに、中国が領有権を主張している島々だ。
知事は「東京が尖閣諸島を守る」と語った。中国に四の五の文句など言わせるものか、という態度である。
こんな知事発言に、インターネット上では拍手を送る書き込みがあふれている。
確かに、知事の発言には本人をはじめ、中国の対応を不快に思ってきた人々の留飲を下げる効果はあるだろう。だが本来、政治家の仕事は複雑に絡み合った懸案を、一つひとつ丁寧に解決していくことだ。
それに、そもそもこれは東京都の仕事ではないはずだ。
知事は「島々を舞台にしてさまざまな施策を展開する」という。けれど、日本人が上陸しただけで反発してくる中国のことだ。問題はいっそうこじれるだろう。
そうなった時、首都とはいえ自治体の長の石原氏に、領土が絡む問題を解決する手だてはない。政府の外交に悪影響を与えることを承知で大風呂敷を広げるのは、無責任としかいいようがない。
尖閣諸島といえば、一昨年9月、中国の漁船が日本の巡視船に衝突してきた事件があった。
この3月に、双方の政府が周辺海域の無人島に新たな名前をつけてからは、中国の監視船などが領海侵入といった挑発的な活動を続けている。
さらに、石原発言を受けて、中国国内では、政府に強硬な対応を求めるネット世論が噴出している。
私たちは、こうした中国側の対応にも自制を求める。日中両国民がお互いに批判しあって、何か得るものがあるのか。
体制が変わったばかりの北朝鮮への対応でも、日本と中国との連携は欠かせない。国交正常化40年を迎える隣国同士でもある。こうした両国の関係を、石原氏はどう考えているのか。
そもそも、都民の税金を使って島を買うことの説明がつくかも疑問だ。都議会に予算案を提出するというが、そう簡単に理解が得られるとは思えない。
石原氏には、新党構想が取りざたされている。その折から、税金を使って選挙向けのパフォーマンスをしているようにも見える。
藤村官房長官はきのうの記者会見で、国が購入する可能性を否定しなかった。東京都よりも外交を担当する政府が所有する方が、まだ理にかなっている。
「石原知事「尖閣諸島、東京都が買い取る」
石原知事「(尖閣諸島を)東京が買うことにいたしました。東京が尖閣諸島を守ります。日本の政府が嫌がるかどうか。どこの国が嫌がろうと、日本人が日本の国土を守るために島を取得するのは、何か文句がありますか」
買い取るのは、尖閣諸島のうち魚釣島と北小島、南小島。理由について石原知事は、領有権を主張し、過激な運動も辞さない中国から守るには「今の政府の姿勢じゃ危ない」と述べた。また、現在の地権者とは去年末から交渉を始め、「基本的に合意している」としている。
取得額については明らかにしなかったが、東京都民の理解が得られるかについては「東京がやることは『国のため』が大原則なんじゃないの」と述べた。
自らを中心とした新党構想もくすぶる中、石原知事は東京都が尖閣諸島を買い取るという異例の行動に打って出た形。
石原知事は講演の後、「面白い話だろ」と記者団に笑顔を見せた。今後は、日本政府や中国の反応が焦点となる。