「ミュージック・ライフ 東京で一番売れていたレコード 1958~1966」(澤山博之 監修・著 シンコー・ミュージック・エンタテイメント 2019年1月)を読む。
出版元であるシンコー・ミュージックが本書の内容を次のように紹介している。
「あの頃はどんな洋楽が日本で流行っていたのか?
オリコン以前のポップス黄金時代を刻んだMLの連載が復活!
音楽雑誌「ミュージック・ライフ」編集部が、当時の主要なレコード店の売り上げ集計を元に構成し掲載していたヒット・チャート「東京で一番売れているレコード」(1958年〜66年)。ポール・アンカがヒットを連発した1958年から来日公演実現によってビートルズ人気が爆発した1966年まで、オリコンが登場する前の洋楽ヒットの具体的な状況が唯一わかるこの企画を初めて完全復刻し、今の目で見て考察したテキストも加えて再構成。更には、ランク・インした曲を新たにアーティスト別にリスト・アップ。曲別のチャート・アクション分析を加えた資料も作成した。
この一冊があれば、これまで「何となく」語られていた当時のヒット曲の具体的な動きがわかり、往年のポップスを愛するファンも、これから知りたい入門者も、大満足間違いなしだ。」
以前、マントヴァーニに関する記事を書いたとき、最も参考になったのが「ビルボード・トップ40アルバム 1955-1986」(ジョエル・ホイットバーン編集 音楽の友社 1989年11月)だった。インターネットがまだ普及していなかったので、私はようやく東大駒場前の古書店でこの本を見つけ、ビルボード・チャートの中でマントヴァーニ(楽団)がどのような位置を占めていたのかを正確に知ることができた。
一方、2019年になって刊行された本書「ミュージック・ライフ 東京で一番売れていたレコード 1958~1966」は、オリコン・チャートが始まる以前のシングル盤チャートを記録した唯一の本だ。私がマントヴァーニのアルバム(LP盤)チャートを調べたように、もし当時のシングル盤チャートを確かめようとするのならば、この本は基本資料となるだろう。
資料としてなどと肩ぐるしいことを言わなくても、本書をめくるだけで、様々な記憶、シーンがよみがえってくることは間違いない。