澎湖島のニガウリ日誌

Nigauri Diary in Penghoo Islands 澎湖島のニガウリを育て、その成長過程を記録します。

映画「返校~言葉が消えた日」を見る

2022年04月02日 08時36分13秒 | 音楽・映画

 アマゾンプライムで映画「返校~言葉が消えた日」(台湾 2019年)を見る。迂闊にも私は、これまでその存在を知らず、予備知識もないまま見たので、かなり驚き当惑した。

 台湾映画と言えば、「海角七号」(2008年)が印象的だった。台湾と日本の歴史的絆を描いた作品で、台湾人がこんな風に「日本」のことを思っているのかと知った。私の世代は、中華民国(台湾)対中華人民共和国、国民党対中国共産党、蒋介石対毛沢東というような対立図式で歴史教育を受けてきたから、「台湾人」の存在に思いを致す機会がほぼなかった。だが、この映画では、日本統治時代が懐かしく、肯定的に描かれているので、「自虐史観」の呪縛を解くのに大いに役立った。

 さて、「返校」は、1962年当時の台湾の高等学校で起きた事件を描く。1945年、日本統治時代が終わり、1947年には、台湾に「進駐」してきた中国国民党の軍隊が、「ニニ八事件」を引き起こし、二万八千人と言われる台湾人を虐殺する。台湾を「接収」した蒋介石の国民政府は、「反共」「大陸反抗」を叫び、四十年もの間「戒厳令」を発して、恐怖政治を行った。そんな蒋介石独裁時代の学校生活を、この映画で初めて見ることに。高等学校内での反共教育と軍事訓練の実施、危険図書の閲覧禁止、校内における華語(北京語)の強制(=台湾語の使用禁止)など、本を通じて知ってはいたものの、やはり映像は具体的で空恐ろしさを感じさせる。

 台湾の友人にこの映画を見たことをメールしたら、次のような返事があった。「1961年、わたし三歳です。1996年、李登輝が大統領に当選した。(それから)自由な社会になり続けるんです。小学生のとき、中国語で話さなければいけません。皆はこの事件を忘れないんです。」(原文のまま)

 ホラー的な脚色がなされているとはいえ、この映画の内容は、ほぼ事実で、一般の台湾人の記憶に刻まれているようだ。

 

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