澎湖島のニガウリ日誌

Nigauri Diary in Penghoo Islands 澎湖島のニガウリを育て、その成長過程を記録します。

李登輝氏の講演会に行く

2009年09月06日 05時36分36秒 | 台湾

9月5日午後、東京・日比谷公会堂で開かれた李登輝氏の講演を聴きに行く。
「竜馬の”船中八策”に基づいた、私の若い皆さんに伝えたいこと」と題した講演だったが、観客の八割方は中高年。若い人は二割程度しか見られなかった。
会場の警備は極めて厳重で、手荷物をすべてチェックされ、カメラ、レコーダなどは一時預かりとされた。壇上には、警備担当者が六人配置され、来賓のみが入れる客席前列には、同じく六人ほどの制服ガードマンが一般席を注視していた。確かに、親中派の妨害も考えられるのだが、やや過剰警備という印象だった。



李登輝氏のお話はしっかりとメモを取ったつもりだったが、ネット上で各紙の報道を確認すると、私のメモをわざわざ採り上げる必要もないほど、きちんと報道されていた。特に「産経」は詳細を究め、「毎日」は分量は少ないが的確な報道。だが「朝日」はやはり無視を決め込んだようだ。
昨日の「朝日」新聞「声」欄は、噴飯ものだった。民主党が「国家戦略局」を作るという構想に対して、ある老人読者が「戦略」という言葉は、戦争を連想させるから、もっと平和的な言葉に言い換えるべきだとかモノ申していた。こういうのを、「朝日新聞の妄想」というのだろう。こんなことばかり言っていないで、李登輝氏の言葉をきちんと報道すべきだと思うのだが、どうだろう?

今朝(午前5時)のNHK・TVニュースは、李登輝氏の記者会見の模様を放送した。李登輝氏の肉声(日本語)も流して、①民主党政権は「東アジア共同体構想」を言っているが、中国の将来には不確実性がつきまとう。もっとも大事にすべきは台湾との関係である。
②馬英九政権は、これ以上中国に傾斜して、台湾の自立を損なうことがあってはならないと
いう主張をきちんと報道していた。
例のNHK問題(「アジアの”一等国”」)がNHKの報道姿勢に微妙な変化を与えているのではないかと感じた。

李登輝氏はすこぶる元気そうで、声にも張りがあった。もっと多くの若者が聴いて欲しい講演会だった。

 

【産経新聞】より講演会要旨

【李登輝講演】8つの提言要旨  
東京青年会議所とNPO法人武士道協会が共催する「新日本創生フォーラム」で講演した李登輝元台湾総統=5日午後、日比谷公会堂 台湾の李登輝元総統が坂本竜馬の「船中八策」に沿って行った8つの提言の要旨は次の通り。

 第一義「天下の政権を朝廷に奉還せしめ、政令宜しく朝廷より出づべき事」

 政治家と霞が関官僚、一部業界団体が癒着する既得権政治がいまなお横行している。根本原因は、総理大臣の政治的リーダーシップの弱さにある。日本の総理は、アメリカや台湾のように国民の直接投票で選出されていない。総理の政策実践能力が弱いのは、国民の直接的な支持を得ていないことによるものと考える。

 第二議「上下議政局を設け、議員を置きて万機を参賛せしめ、万機宜しく公議に決すべき事」

 都道府県行政が法的にも制度的にも、霞が関官僚の意向にしばりつけられ、地域のリーダーが十分実力を発揮できなくなっている。地域のことは地域に任せ、権限も財源も委譲する。それぞれの地域が自主独立の精神で独自の政策を展開し、競い合って日本を高めていく。社会の閉塞(へいそく)感を打ち破るには、中央集権体制を打破、転換する地域主体の発想が不可欠だ。

第三議「有材の公卿・諸侯及天下の人材を顧問に備へ、官爵を賜ひ、宜しく従来有名無実の官を除くべき事」

 世界に誇る日本文化を背景に、教養を中心に教えていたのが、私の受けた戦前の日本の教育だった。これからの日本は、戦前の教育の長所を思い起こし、戦後のアメリカ式教育から離脱し、日本本来の教育に移行していくことが必要だ。
 
 第四議「外国の交際広く公議を採り、新に至当の規約を立つべき事」

 現在の日本外交は、敗戦のトラウマによる自虐的、かつ自己否定的精神から抜け出せていない。反省は大事だが、反省も過ぎては自虐、卑屈になってしまう。自虐、卑屈の精神では、健全な外交は不可能で、世界中から嘲笑(ちょうしょう)されるばかりだ。アメリカへの無条件の服従や、中華人民共和国に頭を地につけて拝礼するような外交は、世界第2位の経済大国の地位を築き上げた日本にそぐわない。

 第五議「古来の律令を折衷し、新に無窮の大典を撰定すべき事」

 戦勝国アメリカが、日本を2度と軍事大国にさせないために押し付けたのが、現在の日本国憲法だ。日本国憲法の第九条は日本の再軍備を禁止している。そのため、日本はアメリカに安全保障を依存することになった。しかし、日本の自衛隊はアメリカにいいように使われるというのが実情ではないか。国家の根幹である憲法を放置していては、日本国家は遠からず、時代の動きに取り残され、衰退し始めるのではないか。

 第六議「海軍宜しく拡張すべき事」

 民主党は、アメリカとの間で率直な対話に基づく対等なパートナーシップを築くことを目指しているようだ。おおいに評価されるべきだろう。今こそ日本は、日米関係の重要さを前提にしつつ、日米同盟のあり方を考え直す必要がある。現在の日米同盟は、あまりにも片務的ではないか。
 
 第七議「御親兵を置き、帝都を守衛せしむべき事」

 2000年以後の3回にわたる総統選挙で、台湾の民主化は進歩どころか、後退した。日本と台湾の人々の間の心のきずなを固めることが不可欠だ。日本の指導者は崩れつつある日台関係の再構築と強化に力を注いでほしい。

 第八議「金銀物貨宜しく外国と平均の法を設くべき事」

 日本は莫大(ばくだい)な個人金融資産を抱える国。この金融資産が投資資金として市場にきちんと流れる道筋をつくることが重要だ。国民の「老後安心政策」を、政治家の人たちは、明確に打ち出す必要がある

【毎日新聞】

李登輝氏:民主政権に“中国と節度のある交流を”と注文
 来日している台湾の李登輝元総統(86)は5日、東京都内で講演し、民主党の鳩山由紀夫代表がアジア重視を掲げていることを念頭に「日米協調路線を基軸とし、中国と節度のある交流をすべきだ」と注文をつけた。また、台湾の馬英九政権による台風被害の対応を批判した。

 李元総統は幕末の志士・坂本竜馬が近代化策を構想した「船中八策」をテーマに日本の現状に当てはめて分析。外交や政治制度などの課題を指摘した。

 対中政策については、「中国の将来の不確実性を考慮すれば、日本も台湾も中国に幻惑されず、主体性を持った態度で良い関係を構築することが必要」と訴えた。

 台湾の政治情勢にも触れ、「政治が中国に傾き、ゆがみ始めている」と述べた。さらに、「台風被害の対応に見られるように、現政権では国民の側に立った政治が行われていない」と批判した。

 李元総統は5日夜、都内のホテルで記者会見し、鳩山代表が掲げる東アジア共同体構想について「アジアにおける共同体を考える前に台湾との関係をどう強くするかが大切ではないか」と述べ、台湾が置き去りにされることへの懸念を示した。

 李元総統は4日に来日し、10日までの滞在中、高知や熊本を訪れる。訪日は昨年9月の沖縄訪問以来で、00年に総統を退任してから5回目となる


 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。