澎湖島のニガウリ日誌

Nigauri Diary in Penghoo Islands 澎湖島のニガウリを育て、その成長過程を記録します。

李登輝と橋下徹の「船中八策」

2012年02月14日 06時43分16秒 | 政治

 幕末、坂本竜馬が京都に向かう船の中で書いたと言われる「船中八策」。その骨子はつぎのようなものであった。

一、天下の政権を朝廷に奉還せしめ、政令宜しく朝廷より出づべき事。
一、上下議政局を設け、議員を置きて万機を参賛せしめ、万機宜しく公議に決すべき事。
一、有材の公卿・諸侯及天下の人材を顧問に備へ、官爵を賜ひ、宜しく従来有名無実の官を除くべき事。
一、外国の交際広く公議を採り、新に至当の規約を立つべき事。                     
一、古来の律令を折衷し、新に無窮の大典を撰定すべき事。
一、海軍宜しく拡張すべき事。
一、御親兵を置き、帝都を守衛せしむべき事。
一、金銀物貨宜しく外国と平均の法を設くべき事。

 2009年9月5日、李登輝氏は、日比谷公会堂(東京)において講演をおこなった。このときの講演は、坂本竜馬の「船中八策」をベースに、現代日本の抱える問題について語った。このブログでもその概要を掲載した。※
※ http://blog.goo.ne.jp/torumonty_2007/e/f003c219d084ef172dfa4430e7431fea

 一方、昨日、橋下徹の「大阪維新の会」が発表した「船中八策」の骨子は、次のとおり。

 「統治機構の再構築」を掲げ、「参議院の廃止」「道州制の導入」を謳っている。これらを実現するためには、日本国憲法の改正が必要である。「憲法改正」については、別項で掲げられているが、ここで気になるのは、「外交・安全保障」との関わりで「憲法第九条」改正問題が採り上げられていないことだ。
 李登輝氏の「船中八策」講話の中では、日本国憲法を「皆さんもご承知の通り、戦勝国アメリカが、日本を二度と軍事大国にさせないために押し付けたのが、現在の日本国憲法です。日本国憲法の第九条は、日本の再軍備を禁止しています。そのため、日本はアメリカに安全保障を依存することになりました」と位置づけ、憲法改正に言及している。
 
 橋下徹が何故、憲法改正を提起しながら、「第九条改正問題」に触れないのかは、明らかだろう。「タブー」はタブーとして曖昧なかたちに残しておき、自らの政治的影響力保つためだろう。肝心要な問題は棚上げにする。これをポピュリズムと酷評する向きも多い。
 だが、「日本国憲法」は、その生い立ちからして改正が困難なように意図的に作られている。橋下が「参議院廃止」「道州制」をぶち挙げて、「憲法改正」論議にまで踏み込んだ”度胸”はおおいに評価されるべきだろう。

 キャスター・辛坊次郎は、「橋下徹は半年以内に”狙撃”される」と”予言”している。これは冗談半分にしても、橋下の過激な改革案には、ある種の勢力から過激な”抵抗”がありうるのかも知れない。 

 
李登輝氏講話 「船中八策」について(2009.9.5 日比谷公会堂)より

第五議・・古来の律令を折衷し、新に無窮の大典を撰定すべき事。

 国の基本法たる憲法をどうするかは、今日の日本にとって大きな課題でしょう。皆さんもご承知の通り、戦勝国アメリカが、日本を二度と軍事大国にさせないために押し付けたのが、現在の日本国憲法です。日本国憲法の第九条は、日本の再軍備を禁止しています。そのため、日本はアメリカに安全保障を依存することになりました。
 しかし、その実、日本の自衛隊は種々の軍事行動をアメリカの必要に応じて要請されるようになっている、いわばアメリカに、いいように使われるというのが実情ではないでしょうか。
  
 うずくまり、行動を起こさない日本政府に対し、多くの、心ある有識者が「アメリカにノーと言える日本を」と求めていますが、日本のひ弱な指導者たちは、こうした意見を理解しようとせず、理解したとしても行動を起こす勇気もありません。気骨なき政治家ばかりで、日本は大丈夫なのでしょうか。

 日本が真に自立するために何が必要であるか、歴史をふまえ、その具体策を検討する必要があります。その際、憲法問題を避けて通ることはできないように思われます。

 日本では、「国民投票法」の本格的な施行(しこう)が来年に迫っているにもかかわらず、憲法審査会も機能を開始しておらず、いわば、頓挫(とんざ)しているようです。今回の衆議院選挙でも、憲法問題が本格的に論じられることはありませんでした。私の見るところ、国民の間でも、憲法問題は、ほとんど論じられず、むしろ、忘れ去られているような感じすらします。このような日本国民の憲法問題に対する無関心が、次第に「日本人としてのアイデンティティ」を不明確にさせ、国民の精神にも大きな影響を与えていくと私は感じています。



大阪維新の会 「船中八策」8つの柱、概要固まる

2012.2.13 14:00 (1/2ページ)west政治

 

 大阪維新の会が、次期衆院選の公約として策定を進めている「維新版・船中八策」の骨子が13日、判明した。統治機構の再構築や行財政改革、憲法改正などの8項目が柱。細目では、首相公選制の導入や、憲法改正の発議要件を衆参両院それぞれの3分の2から過半数に改めることを盛り込む方針だ。また、経済対策や社会保障制度改革の一環として、最低限の生活に必要な所得を全国民に保障する「ベーシック・インカム」(最低生活保障)の導入も検討しており、議論を呼びそうだ。

 船中八策の柱は、統治機構の再構築▽行財政改革▽教育改革▽公務員制度改革▽社会保障制度改革▽経済政策▽外交・安全保障▽憲法改正-の8つとなる見通し。維新代表の橋下徹大阪市長が目指す「国と地方の仕事の仕分け」「民間での資金流動を活発化させる税制」「一生使い切り型の社会保障」などを反映させる方向で、今後、所属地方議員や「維新政治塾」で議論し、細部を詰める。

 統治機構改革や憲法改正では、参院を現在の形から首長が兼務する代表機関に改めることも盛り込む方針。維新幹事長の松井一郎大阪府知事は13日、参院について「衆院のカーボンコピー的な形はいかがなものか。首長が兼務すれば、国と地方の意思伝達がスピーディーに協議できる」とメリットを語った。

 ベーシック・インカムは、年金や雇用保険、生活保護など複雑化したセーフティーネットを一元化する方策として検討。維新は、働けば働くほど収入が増える仕組みで、社会保障上の利点のほか、勤労意欲の向上や経済活性化などにもつながるとみている。

 維新では、ベーシック・インカムと併せ、最低生活水準に達しない低所得層に所得税を免除し、逆に給付金を支出する「負の所得税」制度とセットで盛り込むことも検討している。 (「産経新聞」2012.2.13)

 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。