野茨(ノイバラ)の花が咲きました。
川岸で毎年たくさんの花を咲かせます。ほのかに香ります。
古代の東国方言ウマラ(棘)からウバラ、イバラに変化した。とげのある低木の総称に、野をつけた名前です。
ロサ・ムルティフロラ(Rosa multiflora)は和名をノイバラ(野茨)といいます。北海道から九州まで広く日本中に自生する日本原産の原種バラです。
万葉集 巻20 第4352首に丈部鳥(はせつかべのとり)作のノイバラを詠んだ歌が残されています。これが日本の文学史上、もっとも古いバラといわれています。
道の辺の宇万良のうれに延ほ豆のからまる君をはかれか行かむ
「道のほとりのノイバラの先に豆のつるがからみつくように、私にからみついて離れようとなさらない君と、別れて行かなくてはならないのか」という意味で、防人として出兵するため家族と別れる際の悲しみを歌った「防人の歌」です。 |
ノイバラ(野薔薇) 科・属 バラ科・バラ属 和名 野茨(ノイバラ) 英名 Japanese rose 学名 Rosa multiflora 原産地 日本 開花期 5月~6月 ノイバラは日本全国の河原や野原に自生する、つる性落葉低木。 別名は野薔薇(ノバラ)。日本の野生バラの代表です。 大変丈夫なので、栽培品種のバラの台木によく用いられます。 樹高は1m~2mほどで、枝がよく分枝してトゲがあります。 花径は2.5cmほど。 白色で芳香がある花が5月~6月頃にまとまって咲きます。 咲き方は素朴な美しさのある一重咲きで、花びらは5枚です。良い香りは香水などに用いられます。 花後に赤い実ができますが、実に見える部分はガクの下の筒が肥大した偽果です。1cmくらいの丸形で、9月~12月頃に赤く熟します。 果実酒、利尿・便秘などの漢方薬などにも用いられます。リースを作るときの花材としても使われます。 トゲのある低木を総称してイバラと呼ぶことから、野に自生するイバラということで、ノイバラとつけられたそうです。 |