ちょっと古くなりますが、大相撲の巡業の土俵上で市長が倒れて、看護師の女性が土俵に上がったことが話題になりました。
「女性の方は土俵から降りてください!」のアナウンスが問題になりました。
このアナウンスは、土俵が「女人禁制」だということにもとづくものです。
「命」よりも「伝統」が重んじられるわけがありません。
しかし、この「女人禁制」は本当に伝統なのでしょうか?
調べてみました。
土俵入りの柏手、清めの塩撒き――。「大相撲」は、神事と密接な関わりがあるとされ、女性を土俵に上げないことが「伝統」とされています。
だが、こうした姿勢を「女性差別ではないか」と問題提起する声が過去にありました。また、そもそも「"土俵は女人禁制"は明治期以降のもの。伝統と言えるのか」と指摘する声もあります。
■古文書に初めて登場する「相撲」をとったのは女性?
神道では血を出すことは「けがれ」とされる。そのため、生理があることから女性を「血」と結び付け、宗教的な禁忌ととらえるようになったとされます。
大相撲でも土俵は「神聖」なものとされ、「女人禁制」とされてきました。だが、古文書を紐解くと、女性と相撲は深い関わりがあるようです。
日本史上初めて文献に「相撲」が登場したのは『日本書紀』の雄略天皇期の部分とされ、そこにはこう書かれています。
【原文】 (十二年)秋九月、木工韋那部眞根、以石爲質、揮斧斲材、終日斲之、不誤傷刃。天皇、遊詣其所而怪問曰「恆不誤中石耶」眞根答曰「竟不誤矣」 乃喚集采女、使脱衣裙而著犢鼻、露所相撲。於是眞根、暫停、仰視而斲、不覺手誤傷刃。 【口語訳】 (雄略天皇12年(西暦469年)の)秋の9月、木工職人の韋那部眞根(いなべのまね)が、石を台にして斧で木材を削っていた。一日中削っても、間違って斧を石の台にぶつけて刃をつぶす事はなかった。天皇がやってきて不思議に思って聞いた。「いつも間違って石にぶつける事はないのか」と眞根は答えた。「決して、誤ってぶつけることはありません」。 そこで天皇は采女(うねめ。宮中の女官)を集め、着物を脱がせ、褌を締めさせ、みんなの前で相撲をとらせた。眞根は少し手を休め、それを横目で見ながら木材を削った。しかし相撲に気を取られて、間違って斧を台座の石にぶつけて、傷つけてしまった。 |
※日本史上初めて文献に「相撲」が登場したのは『日本書紀』であり、相撲をとったのは女性でした。
■室町時代には尼僧が相撲興行で活躍?
『義残後覚』(16世紀成立)の中では、「比丘尼相撲の事」という項目で、室町時代の女性力士が紹介されています。
そこには、勧進相撲(営利目的の興行相撲。大相撲の源流とされる)に「比丘尼(びくに。尼僧)」が出場していたことが記されていました。
■江戸時代には「観戦禁止」も、女相撲があった
江戸期では、1781(天明元)年以降に両国・回向院の境内で勧進相撲が開かれたとされ、これが現在の「大相撲」の起源とされる。1909(明治42)年、この地には旧両国国技館が建てられています。
江戸時代は原則として女性の相撲観戦が禁じられ、許されても千秋楽のみだったという。
ただ、『江戸繁昌記』(1831年刊)などによると、当時の相撲では頭に血が上った相撲ファンが頻繁に乱闘騒ぎを起こしていたことが伺えます。
一方で、この頃は女性が参加する見世物的な相撲や、女性同士が相撲を取る「女相撲」もおこなわれています。
「女相撲」は戦前まで全国巡業もあったほど。東北や九州では今なお祭礼行事として残っている場所もあります。
長らく禁じられていた女性の相撲観戦が許されたのは、1872(明治5)年だとされます。
明治維新と文明開化の流れの中、次第に相撲人気が下火になったこの時期、当時の相撲関係者が元土佐藩主・山内容堂に相談。これに山内は、女性への相撲観覧の解禁を説いたと伝えられます(朝日新聞2000年2月13日朝刊)。
1884年3月には明治天皇の臨席の天覧相撲が開かれ、やがて相撲は「国技」としての地位を得ました。
※相撲が国技となったのは1884(明治16)年のことです。これが、伝統と言われる根拠です。
■信仰か、伝統か、差別か... 議論なおも続く
相撲界で土俵は「スポーツ」の舞台であると同時に、神聖な"まつりごと"の場所とする「信仰」の対象とされます。
本場所初日の前日や部屋開きの際、立行司を祭主とする「土俵祭り」が執り行われる。そこでは立行司が、相撲の由来を述べる口上でこう唱えます。
清く潔きところに、清浄の土を盛り、俵をもって形となすは、五穀成就のまつりごとなり |
「女人禁制」のしきたりは、福岡・宗像大社の沖ノ島などに残る。各地には女性が参加できない祭りもあり、いずれも女性を禁忌とする価値観から生まれたものとされます。
一方で富士山や比叡山など、女人禁制が解かれた霊場もあります。
「信仰」や「伝統」を理由に、土俵の女人禁制を肯定する声もあります。その一方、性差別の観点から女人禁制への批判もあります。
さらには、「『相撲は神道との関わりがあるから女性を排除する』というような論理は、明治以降に相撲界の企図によって虚構されたものであると考えられる」という意見もあります。
土俵の女人禁制は「伝統」なのか? 相撲と女性をめぐる問題提起は過去にもあった
■ここで、「日本相撲協会」のHPにある「相撲の歴史」を紹介します。
●相撲の起源 . 相撲は人間の闘争本能の発露である力くらべや取っ組み合いから発生した伝統あるスポーツである。これによく似た形態のスポーツは古来世界各地で行われた。 我が国の相撲の起源としては、古事記(712年)や日本書紀(720年)の中にある力くらべの神話や、宿禰(すくね)・蹶速(けはや)の天覧勝負の伝説があげられる。 相撲はその年の農作物の収穫を占う祭りの儀式として、毎年行われてきた。これが後に宮廷の行事となり300年続くことなる。 ●戦国の力じまん 鎌倉時代から戦国時代にかけては武士の時代。武士の戦闘の訓練として盛んに相撲が行われた。織田信長は深く相撲を愛好し、元亀・天正年間(1570~92年)に近江の安土城などで各地から力士を集めて上覧相撲を催し、勝ち抜いた者を家臣として召し抱えた。 ●江戸文化と相撲 江戸時代に入ると浪人や力自慢の者の中から、相撲を職業とする人たちが現れ、全国で勧進相撲が行われるようになり、江戸時代中期には定期的に相撲が興行されるようになった。 やがて谷風、小野川、雷電の3大強豪力士が出現し、将軍上覧相撲も行われ相撲の人気は急速に高まり、今日の大相撲の基礎が確立されるに至った。 相撲は歌舞伎と並んで一般庶民の娯楽として大きな要素をなすようになった。 ●江戸時代から変わらぬ姿 大相撲は、長い歴史の中で次第にルール化され、洗練され、様式化されてスポーツとしての形態を整え、我が国固有の伝統文化となったのである。 土俵入り、番付表、化粧廻し、髷、着物、相撲の取組。江戸時代と変わらぬ姿を、すぐそこで見ることができる大相撲。
日本の文化に深く根ざし、いつも人々の生活とともにあった相撲。 相撲には歴史・文化・神事・競技など様々な側面があり、それぞれ奥深い要素を持っています。 テレビでは味わえない~戦国時代より登場した行司、江戸時代より続いている土俵入り、化粧廻し~など、 長年続いてきた文化を、会場で是非ご体感ください! |
※「日本相撲協会」のHPにある「相撲の歴史」の中では意図したかのように、「女人禁制」には触れていません。
今回の救命処置をめぐるアナウンス問題は、相撲と女性をめぐる過去の問題提起を思い出させることになりました。
いつかこの国に女性の総理大臣が誕生したら、誰が優勝力士に内閣総理大臣杯を授与するのでしょうか?
何はともあれ、今回のことに関しては土俵に上がって救命処置をした女性の行いを讃えるべきでしょう。
少なくとも、相撲協会が言っている伝統は人命に勝るものではありません。
したっけ。
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人命に関わることです。
女相撲って、今の女子プロレスやレスリングなみでしょうか?
昔の女性も逞しかったんですね。
それを強制したり執着したりすることが問題。理性がなくなる^^;
女人禁制という習わし?はまあご自由に。でも、女性差別は身の破滅、不幸への道。神聖だ不浄だって言い合ってる時点で???ですけど。^^;
とりあえず、それぞれの文化で違いを認め合って仲良くやっていければいいんじゃないかと。
まあ、伝統も信仰も文化(好きずき)ってことで、人を巻き込まないように(強制しないように)してもらえれば有り難い。あんまり頑固だと生きていけなくなると思います。見放されたりして…。相撲協会の人たち、大丈夫かな?心配するわ^^;
それに「女人禁制」なんて嘘っぱちですよ。
相撲の始まりは女性だったんですから^^
したっけ。
しかし、大相撲の「女人禁制」は伝統と言えるのかという疑問がわきます。
私が調べた限りでは、明治以降に相撲の格付けのための後付けだと思います。
今は公益財団法人なのですから、つまらないことにこだわらない方がいいと思いますが・・・^^
したっけ。
救命処置をされた女性の対応の早さは素晴らしいですね。
緊急事態においてもあのアナウンスが流れるのは信じられません。
相撲界に臨機応変の言葉はないのでしょうね。
いつもありがとうございます♪
相撲協会も春日野親方がトイレ
に入っていたと嘘を言っていて
なんのお咎めもないのは納得
いかないです。
市長の命を助けられたのは看護婦さん
であって女性を上げないのを禁止する
なら土俵に医者を置いとくべきと思い
ます♪
大相撲がこだわる「女人禁制」は伝統でも何でもなかったってことです。
臨機応変の対応が求められますね^^
したっけ。
言い訳は見苦しいですね。
ボクシングにはリングドクターがいますね。
相撲だってどんなことが起きるか分からない。
医者は必要ですね^^
したっけ。
私はこういうがいけないとは思いません。
そうしたいところがあったらどうぞ!ですが、
あの場面ではね!
臨機応変でなければね~
でも、何が何でも男女平等だと気炎を張り上げるのは・・・ちょっと!
男女平等だ。屋根に上がって雪を下せ!
男女平等だ。女だって60キロのモミ袋を持て!
男女平等だ。動物の死骸を片付けろ!
男女平等だ。夜道を歩いて山の上の神様の灯篭を灯しに行け!
ああ~困る・・・(@_@)
命より重たいものはないですよね。
テレビでも女人禁制は明治からだとやっていました。
もっと臨機応変に対応して欲しいです。