まず、漢字の「林」と「森」の違いを考えてみましょう。
「林」がつく熟語を考えてください。多くの場合、「林」が下についています。「森林」「原始林」「原生林」「針葉樹林」「密林」「杉林」「雑木林」など。
これらの「林」を「森」に置き換えると言葉になりません。「林」と「森」とは明確に違っていて、混用するものでも対立するものでもないからです。
次に、日本語の「はやし」と「もり」の違いを考えてみます。
はやし【林】
1 樹木がたくさん集まって生えている所。「武蔵野の面影を残す―」「雑木―」2 同類のものが立ち並んでいる状態。「アンテナの―」
大辞泉
まず、「はやし」ですが、これは「生やし」が語源のようです。ヒゲを「生やす」などの他動詞の名詞形と考えられます。
「生やす」が活用した形で、「映やす」「栄やす」「囃す」と同源のようです。お囃子の「囃す」 は、元々は「増殖させ」 「豊かにする」 という意味合いがあります。祭りの 「お囃子」 は、賑やかにして魂を豊かに増殖させる効果があるのです。
つまり、「はやし」の語源は「生やし」であり、木や竹などがたくさん生えているところに「映やす」「栄やす」などの思いを込めた表現として、「はやし」となったようです。
樹木は古くから日本人の生活にはかかすことはできないものですので、伐採が進んで木が少なくなると困るわけです。
なので、木の多く生えている場所に「活力」「繁栄」「美しさ」「神々しさ」などの気持ちが込められるのも自然なことでしょう。
『大辞泉』に「同類のものが立ち並んでいる状態。」とあるのは、「生やし」という言葉は、人間が植樹をして「生やした」ということだと思います。
もとからあった林を人間が利用しつつ、「栄える(生える)」ように仕向けた、のかもしれません。
間伐や下刈りなどをして、人間が手を加え生活に関わる要素があるようです。
もり【森/杜】
1 樹木がこんもりと生い茂った所。「―の都」2 神社がある神域の木立。「鎮守の―」
大辞泉
「も」には、「たくさんある」という意味があるようで、「もり(森)」の語源は、とてもたくさんある様子を指していう「盛り」のようです。
木々が「とてもたくさんある様子」なので「森(もり)」となったわけですね。
また、「もり(森)」の語源の「盛り」には、「盛り上がったところ」という意味づけがされています。
もともとは、「山」と「森」は同一視されていたようです。
盛り上がった状態を指して「山」といいますから、「森」と「山」は地面が盛り上がっている所とすると、同じものを指しています。
ただ、「山」には必ずしも「樹木」がある必要はないですが、「森」のほうには必要です。
「はげ山」を「もり」とはいいません。盛り上がっているだけでは「森」とはいえません。
「林」より「森」のほうが「木」が多いなどという駄洒落のような理由ではありません。
つまり、「はやし」と「もり」の最大の違いは、木の数ではなく、そう呼ぶようになった日本人のものの考え方の問題なのだと思います。
「活力」「繁栄」などの思いを込めて、人間が手をかけた裏の林を「はやし」と呼びました。
それに対し、「森」は自然に盛り上がっているのです。人間の力の及ばない自然の力、太古においては「神」の力によって木が自然に生え、盛り上がるように見えるところを、「もり」と呼んだのです。
なお、「杜(もり)」の語源は、「守」だと考えられます。山岳信仰的な観念が強いので、神の宿るところ、あるいは、山そのものがご神体といった考えから、人知の及ばないものと認識されるところが「杜」 なのだと思います。また、鬱蒼(うっそう)とした中に神を宿し、守護するという発想から、「守り」「護り」に通じるということもあるのだと思います。
「林」が身近で、「森」、「杜」が奥の深い感じがするのは、このためなのだと思います。「鎮守の杜」も、人間が自由に利用するには畏れ多いところだからなのです。仮に、最初は人間が植樹したものだったにしても、「林」でもなく、「森」でもなく「杜」なのです。
人の手の入っているのが「林」、自然に生えているのが「森」なのです。「林」は「杉林」「竹林」のように、同種の樹木で形成されています。「森」には「針葉樹」、「広葉樹」が混雑しています。原則的には、これで間違いないと思います。
したっけ。
成る程勉強になりました。
鎮守の森とは木が盛り上がっているから盛り上がっているから森なのですね。成る程納得。
最近の竹林は手入れがされていません。竹森になったようでず。お陰で熊がよく出るようになりました。
その為なお、山へ行かなくなります。
更に放置林が多くなります。困った物です。
『盛る』と言うと、若い子達の髪の毛を『高く盛る』という
言葉を、思い出します(●^o^●)
そんな言葉はもう、使えない年齢です(笑)
そうですね。
管理する人の高齢化が原因のようです。
林は管理されて適当に視界がきくことによってクマが人里に下りてこないという緩衝地帯でもあったのですが・・・。
したっけ。
そんな言葉があるのですか?
時代遅れなオヤジです。
したっけ。
杜にはマイナスイオンがあって
なんだか心地良さそうに思えます。
高千穂峡や屋久島をイメージします^^
そうですね。林といえば雑木林に代表されるように身近な感じがします。
森というのは何か神聖なイメージがあります。屋久島は行ったことはありませんが人を寄せ付けない威厳さえ感じます。
したっけ。
林だと、すぐそこの感じですよね。
森は盛りでもあり、守でもあるんですね。
大事に守りたいですね。
そうですね。森は天然のダムといわれるくらい保水力があったはずなのですが・・・。
今回の豪雨で荒れ放題の山は各地で崩落しています。
守らなくてはいけないですね。
したっけ。