お魚三昧生活

鹿児島の定置網で獲れる魚や市場の魚、鹿児島大学総合研究博物館魚類ボランティア(魚ボラ)の事などを紹介します!

レプト幼生で日本初記録 ナンヨウオキアナゴ(新称)

2022年06月03日 | 魚ボラ
 昨年の9月に深海エビ漁の方からアナゴ科のレプトセファルス幼生を頂いた(ブログ2021 9.6)。レプト幼生といってもそれは体だけで頭部は成長している非常に面白く、謎な個体であった。そのレプト幼生を魚ボラの学生が研究し、形態的・遺伝的と両面の特徴から日本ではまだ未記録のオキアナゴ属魚類Congriscus maldivensisのレプトセファルス幼生であると同定し、本日、魚類学雑誌早期公開版で出版され、新標準和名ナンヨウオキアナゴ(新称)と提唱されました。当時は全く知見や論文等が見つからず、種までの同定は難しそうで迷宮入りかと思われたが、研究してくれた学生のお陰で解明され、国内未記録種という事でとても嬉しい結果となる。更に有難いことにお魚友達の有名な方からはオキアナゴ属の別種でこの個体の変態過程が進んだ状態の写真など情報を頂き、オキアナゴ属のレプト幼生が頭部と尾部から変態していく事が解り、頭部だけが成長している疑問も解明することが出来た。そして何よりこの個体を深海エビ漁操業中の忙しい時に確保し、とても丁寧に扱い綺麗な状態で持ち帰って来てくれた事で真相が明らかになったのでとても感謝している。今回は種同定が出来た事で標準和名を提唱することが出来たのだが、少しは変態が進みサイズも大きいのだがレプト幼生という事はまだ仔魚である。仔魚で標準和名を提唱するとは珍しいパターンではないだろうか。これも遺伝子解析が以前よりも手軽に行えるようになったからではないだろうか。

ナンヨウオキアナゴ(新称)








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