今日、魚ボラの学生からメールで論文出版の報告が来る。日本魚類学雑誌早期公開版で日本未記録種Gymnothorax pseudoprolatus Smith, Hibino and Ho, 2018の論文が出版され、標準和名チャイロウツボ(新称)と提唱されました。今年の3月に以前にうちの定置網で採集したウツボの仲間の論文のチェック依頼が学生から来て、やり取りしていた。その標本の採集日が2009年となっており、13年も前の標本である。その論文を読むと国内未記録種であり、更に驚くことに台湾産ホロタイプ標本1個体に基づき新種記載されており、原記載以降追加標本は報告されておらず、この個体が2個体目となるとの事である。この個体を採集した当時の魚ボラではオナガウツボと同定され標本登録されていたみたいである。その採集日当時に自分で撮影した写真をチェックするがウツボ類の写真は見つからず、恥ずかしい事に自分でもこのチャイロウツボを確保したことすら覚えていない。当時、ウツボ類は難し過ぎて自分では全く同定しようとはせず、獲れたら同定は魚ボラ任せという事で標本の確保だけをしていた気がする。このチャイロウツボもこの和名のようにただ茶色く模様など何の特徴もないウツボの仲間である。その為か当時は記録用に写真にすら収めておらず、ブログにも載せていなかったのだろう。この標本を見つけてくれた学生のお陰で自分でも意識していなかった思いもよらぬ所から日本初記録種が見つかり、嬉しい限りである。しかも先日の日本初記録種ナンヨウオキアナゴ(ブログ2022 6.3)に続き、今年というか今月2個体目の日本初記録種である。どちらも著者に入れて頂き学生達には本当に感謝したい。現在鹿児島大学総合研究博物館には17万にも及ぶ魚類標本が登録されている。その中に未記載種や国内未記録種がまだまだ埋もれているのだろう。
チャイロウツボ(新称)