
自分がまさにそうなので、本屋で背表紙を見て気になったので買って読んだ。
副題には、「50歳からの生き方、終わり方」と書いてある。
そのせいか、定年後に読む、というより定年に備えて読む本、という気がした。
筆者が出会った様々な人の定年後の生き方が紹介されている。
私の場合は、定年後を迎えてからこの本を読んでいるので、ところどころで納得のいく話もあった。
確かに、定年後は、自由な時間がたくさんあるのだけれども、現在は、年金が出るまでのつなぎとして、再雇用・再任用といった制度を利用して働いている人が多い。
その制度を利用して働くべきか否か、ということについても、結論としては人による。
私の場合も、定年後を具体的にどう生きようかということは、定年に直面するまで具体的に考えていなかったことに、改めて気づかされた。
娘が病にならなければ、そして東日本大震災が起こらなければ、きっとどこか冬がもう少し温暖な土地へ移住しようと考えてもいたのだった。
4年前からは、まだもう少し働かなくてはだめだな、と思うようになった。
ただ、家族の負担軽減もしたい、ということで、給料は安いが週3日間勤務を選択して、家事に仕事に働いている。
そんな事情から、今の仕事に熱心になる部分と少し冷めた思いをもつ部分とがある。
この本を読んで、改めて思うことは、今まで働いてきた仕事に対しては、誇りを持ってよいと思うこと。。
そして、元気でいられる時間には限りがある、ということ。
だから、これからどう生きるか、ということを、これから精神的にどう豊かに生きるか、ということに置き換え、自分にできることをもう少し考えてみようと思った。
「いずれにせよ、数十年間生きて、そして今死んでいかなければならないという厳粛さは、日々の自分勝手な思い込みなどから解き放たれて、本当に自分にとって大切なものに気づく機会になる。」
…この記述が、自分の心に最もストンと落ちた文章であった。