ON  MY  WAY

60代を迷えるキツネのような男が走ります。スポーツや草花や人の姿にいやされ生きる日々を綴ります(コメント表示承認制です)

「ノーサイド・ゲーム」(池井戸潤著;ダイヤモンド社)を読む

2020-02-05 17:22:49 | 読む
「陸王」「ノーサイド・ゲーム」「下町ロケット」…。
TBS系の日曜劇場で、よく池井戸潤の小説がドラマ化されてるなあ。
書店内をうろつきながら、彼のコーナーに目が留まった。
一番目立っていたのが、「ノーサイド・ゲーム」。



昨年は、ラグビーのワールドカップがあったが、その前にテレビ放送された「ノーサイド・ゲーム」って、どんなドラマだったのだろう?
そんなことを思った。
「陸王」は文庫で買ったが、「ノーサイド・ゲーム」はまだ文庫化されていない。
1600円プラス消費税の単行本を買うのは、ちょっとためらわれた。
そうだ、図書館から借りるというのはどうだろう。

…というので、県の図書館で「ノーサイド・ゲーム」と検索してみたら、驚いた。
なんと予約が14人待ちだという。
この本の人気が高いのは、ラグビー熱がまだ収まらないのか、はたまたドラマの原作を読んでみたい人が多いのか?

息子にこの話をしたら、数日後、「地元の図書館にあったよ」と言って、借りてきてくれた。
「陸王」同様に、一気読みした。
テレビでは大泉洋が主役を務めたらしいが、見ていない私は幸いノー・イメージ。
ラグビーの経験も知識もない、素人の部長が左遷させられてラグビー部のゼネラルマネージャーになり、奮闘する話であった。

池井戸氏の小説の主人公は、ある程度の地位の職にある人のリーダーシップを描くものが多い。
会社が直面する様々な問題と、その地位でなければ直面しない問題を絡ませて、様々な事件や困難を展開する。
そこで、その困難に悩む主人公の身になってストーリーを読み進んでいくとき、自分の立場や経験に置き換えて考えるし、共感度が高くなる。
悩みながらも打開していくからこその主人公なのだが、知恵を絞り力を発揮して窮状を打破していく姿はとても心地よく、日常のストレスを発散させてくれる。
そこに、私たちは引き込まれていく。


日本ラグビー界や企業ラグビーの世界が閉鎖的なものとして本書では描かれている。
その閉鎖性が、まるで真実のように思えるところもある。
本書を読んで、実際の関係者たちはどう思っただろうなあ…と思ったりもしたが…。
ただし、作者ならそんなことは事前に十分考えたうえでの作品のはず。
池井戸氏も、あちこち取材をしたり了解を取り付けたりしてこの小説を書いたのだろうと推測する。
苦労して作品づくりをしたことも十分に感じられた。
面白かった。
さすが14人待ちの人気の高さがある本であった。
コメント
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