日曜日の夕方から月曜日の夕方までの24時間に、とんでもない災いに見舞われてしまった。
まあ、自分が悪いのもあったけど、…。
恥をしのんで、とんだ災厄4つをさらすことにする。
1
日曜日の夜、旅館に泊まった。
ホテルではなかったが、たまにはいいだろう。
温泉にも入れるし。
…そんな思いで宿泊した宿。
実は、とんでもない目にあった。
宿泊に当たって、期待は、温泉にゆっくりつかることだった。
泊り客も多くなく、風呂に行くと、誰も入っていなかった。
やった。一人でゆっくり入ることができるぞ。
体にお湯をかけ、浴槽に入ろうとして、片足を入れた。
その瞬間、思わず、飛び上がった。
熱い!!
ここの風呂は、熱くしているのかな。
ならば、湯温に体を慣らしながらゆっくり入るしかない。
だが、かろうじて両足を入れたが、すぐにダメ!
飛び上がって、浴槽から出た。
こういうときには、水を入れればいいのだが、なんと浴槽そばに水道の蛇口はない。
誰もいないのをいいことに、一番近いシャワー(それでも浴槽から遠い)から水を強く出して浴槽めがけてしばらく水をかけ続けた。
だが、焼け石に水とはこのこと。
全然湯の温度は下がらない。
我慢してへそまでつかってみたが、
…やっぱ、無理!!!
と、湯から急いで上がった。
体だけ洗って、入るのはあきらめた。
クレーマーと思われるのは嫌だったが、フロントの方に、お湯が熱すぎて風呂に入れないことを告げた。
すると、昨日の客が「湯がぬるいからもう少し熱い方がいい」と言われたそうだ。
「でもね、今本当に熱いから。ほかのお客さんから苦情が出ると悪いから、クレーマーと思われてもいいからお知らせしますね。」
と、私が言うと、実際に言って確かめてみたようだ。
10数分後、
「本当に熱かったです。水が出るようにホースをつなげたから、熱かったら水を出しながら入ってください。」
と言われた。
だけど、もうあんなに熱い思いをした後だったので、もう一度風呂に行く気にはなれなかった。
熱湯風呂で温泉を楽しめないなんて、なんということだろう。
2
風呂につかることができなかったので、仕方なく部屋で、テレビを見ていた。
見たのは、日本対キューバの野球の試合。
日本の楽勝かと思って見ていた9時過ぎ、頭がかゆいなと思って手をやったら、プーンという羽音と視野の隅っこに映ったその姿…蚊だ!
こんな時期になってもまだ蚊がいるのか、と思いつつ辺りをうかがうと、1匹飛んでいるのが見つかった。
追いかけて、パチン!やっつけた。
野球の試合は、しだいにミスもあって、接戦の様相になりそう。
ついに同点になってしまった。
すると、また1匹蚊が出てきた。
え?この時期、2匹も蚊が出るの?と思いつつ、これもなんとか見つけてやっつけた。
まだ同点だったが、次の日のこともあるので、10時半に明かりを消して寝ようとした。
少しうとうとしかけた時、耳元にフ~ンという蚊の飛ぶ音。
なんだ!?3匹目まで出るなんて!!
明かりをつけて、目を凝らす。
仕方がないからテレビも付けてみると、野球は最終回の表、日本7-6と1点リードだが、キューバがなんと1死満塁のチャンス。
3匹目の蚊を見つけて、これもやっつけた
日本のピッチャー藤平も、なんとかやっつけろ、と念じていたら、最後のバッターを三振にとって、日本に勝利をもたらした。
もう11時を過ぎていたが、電気を消してまた寝ようとしても、なかなか寝付けなかった。
まさか4匹目はないよな、と思っていたら、11時半過ぎ、頭の辺りにプーンという音。
また出た!4匹目なんて、もう限界!!
フロントに行って、宿の人を呼び出した。
蚊が出て寝られないと言うと、おばあちゃんのその人は、「ちょっと待っててください」と言って、奥に引っ込んでいったまま、なかなか戻って来なかった。
やがて持ってきたのは、蚊取り線香と、それ取り付けるためのニンジンに刺したつまようじ。
これを作っていたから時間がかかったのか。
さっそく部屋に戻って、蚊取り線香に火を着けて寝ようとしたが、さすがに簡単には眠れない。
さっきの蚊らしい羽音がフーン、フーンと聞こえていたが、やがて蚊取り線香が効いたのか音がしなくなった。
代わりに、雨音、風で戸がガタガタいう音が気になる。
やっぱり眠れない。
1時半くらいになって、ようやく意識がなくなった。
熱湯風呂に、季節外れの蚊の襲来。
なんかとんでもない宿に泊まってしまったな…。
そんな思いでいたのだったが、災難は翌日に引き継がれるのだった。
(後編に続く)