卓球の国際大会シリーズ年間王者を決めるWTTファイナルズ2024という大会が、今日まで日本の福岡で行われていた。
この試合は、シングルスは16人、ダブルスは8組が出場する。
基本的に、その種目の世界ランキングで上位の選手しか出場できない。
この大会では、日本の選手たちもそれなりに健闘した。
男子シングルスでは、日本のエースの張本が、中国選手を2人破って決勝に進出した。
決勝では、世界1位の中国選手に完敗ではあったけれども、ランキング上位の選手からの2勝は貴重だった。
男子ダブルスでは、戸上・篠塚組が初戦で格上の中国ペアを破り、準決勝も勝って決勝に進んだ。
決勝ではゲームオールの接戦となったが、フランスペアに惜しくも敗れてしまった。
女子シングルスでは、5人も出場し、同士討ちの組み合わせもあったが、3人が初戦を勝って準々決勝へ進出した。
ただ、そこで3人とも、中国人選手や欧州チャンピオンの選手に敗れてしまったのだが。
まあ、こんなふうに、かなり善戦していた日本人選手だったが、栄冠を勝ち得たのは、女子ダブルスだった。
女子ダブルスで優勝したのは、佐藤瞳・橋本帆乃香のペア。
特徴的なのが、カットマンペアだったということ。
今の時代、カットマンで世界の上位に君臨する選手はほとんどいない。
最新の世界ランクでは、橋本は34位、佐藤は81位である。
その佐藤・橋本ペアの初戦の相手は、ダブルスの世界ランク1位、中国の孫・王(芸)組であった。
孫はシングルスでも世界ランク1位、王は3位である。
彼らの強打と鋭い打球は、男子顔負けのすごさがあった。
善戦しても勝ち目はないだろうな、と思っていた。
ところが、どっこいであった。
強打されながらも、カットで拾いまくる2人。
テニスと違って、卓球のダブルスは、1球ずつ交互に打たなくてはならない。
その難しさがあるのに、前に後ろに右に左によく動いてボールを相手コートに返す。
ダブルスは2人が動きながら交互に打たなくてはいけないということを、日本のペアは逆に、最大限に生かした。
カットするだけでなく、時にはドライブして打ったり、攻撃に転じたり、プレーにも変化を加えて相手をかく乱していた。
時には、スマッシュを連発されてもカットやロビングで粘って相手のミスを誘ったり、想定しがたい強打で反撃したりして、接戦に持ち込み、要所で得点していった。
日本の2人のカットマンの技術はすばらしかった。
1+1が3にも5にもなっている感じだった。
2ゲームを先取しながら、第3ゲームをジュースで落としたときは、この後はやられるのだろうと思ったが、違った。
集中力は途切れず、第4ゲームを奪い、中国の1位ペアをゲームカウント3-1で破る殊勲を打ち立てた。
佐藤・橋本ペアは、続く準決勝でも別な中国ペアを3-0で破り、決勝進出。
決勝は、日本人ペア大藤・横井組との同士討ちとなったが、やはり3-0で退けた。
どの相手も、威力のある攻撃で打ち抜こうとしてくる相手に対して、本当によくカットで拾って粘っていた。
あれだけ攻められても、長いラリーになっても、粘りに粘るプレーには魅せられた。
それは、会場の卓球ファンも、ひょっとすると世界中のファンも同じだったのではないだろうか。
優勝したということは、今年の世界一ペアであるという栄冠を手に入れたということ。
長い間ペアを組んできて、世界の舞台で優勝したのはおそらく初めてだろう。
佐藤瞳・橋本帆乃香ペアを、心から称賛したい。
本当におめでとう!