ON  MY  WAY

60代を迷えるキツネのような男が走ります。スポーツや草花や人の姿にいやされ生きる日々を綴ります(コメント表示承認制です)

「青の誓約 市条高校サッカー部」(綾崎隼著;KADOKAWA)を読む

2025-01-19 20:48:54 | 読む

この前、「冷たい恋と雪の密室」を読んで、綾崎隼という作者が新潟県に関係していると知った。

 

「冷たい恋と雪の密室」(綾瀬隼著;ポプラ社)を読む  - ON  MY  WAY

1月といえば、雪の季節。近年の降雪量・積雪量はかつてほどではなくなったとはいうが、いざ降るとなると「やめてくれ!」と叫びたくなるほど降るときがある。今、北海道や青...

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図書館の新潟県に関係したコーナーに行ったら、彼の作品がずらりと並んでいた。

 

その他の作品も結構あるのだな、と、手を伸ばして最初に取ったのがこの1冊だった。

【その裏表紙にあった本書の紹介】

「好きな人が、好きな人と、幸せになれたらいいのに」

 第94回高校サッカー選手権大会を制した青森市条高校サッカー部は奇跡のチームだった。稀代の名将と、絶対的エースの貴希に導かれ、全国の舞台に青の軌跡を描いたのだ。

 あの頃、サッカー部の部員たちは、誰もが一度はマネージャーの真樹那を好きになっている。だが、皆が理解していた。真樹那が幼馴染みの貴希を愛していることを。そして、その貴希が別の誰かを愛していることを……。

『青の誓約』を胸に刻み、少年たちは大人になる。

 恋愛小説の名手による新時代の青春群像劇、開幕!

 

…へえ~、高校サッカーに、恋愛も絡むのか。

目次の構成は、こうなっていた。

第一話 異世界サッカー革命 柏原聖夏

第二話 夢見る頃は過ぎましたので 蜂屋靖彦

第三話 二人きりの椅子取りゲーム 五十嵐翔太

第四話(最終話) 青の誓約 綿貫真樹那

After story 愛も知らずに今日も私は 高橋郁美

 

じゃあ読んでみようかな、と、借りてきた。

 

第一話を読み始めて、なんじゃこりゃ、と思った。

だって、交通事故に遭ったサッカー部員が、異世界で転生する話なのだから。

サッカーで、その異世界を平和な世界にするだなんて。

まるでゲームかバーチャルの話か何かみたいな話なんだから、借りてきたのをちょっと後悔した。

第二話では、話は高校時代ではなくなって、それから7,8年たったときの話。

登場人物が一部かぶるから連作なのだと分かるが、高校サッカーの話は、登場人物の昔のことになってしまっていた。

第三話は、高校時代のゴールキーパーの話。

ゴールキーパーは、サッカーでは一人しかいない。

つまり、一つの椅子しかないそのポジションを取り合うことになる。

その座を巡っての話。

第三話までに共通して出てくるのが、サッカー部のマネージャー真樹那。

彼女のことを、登場する部員誰もが好きになっていたということが共通点になっていた。

 

そこまできて、最終話でいよいよ真樹那を中心人物にして物語が進む。

登場する市条高校サッカー部には、全国大会に優勝させるくらいの名将監督と、絶対的エースの貴希という存在があった。

皆に好かれているのに、貴希に対して幼なじみの頃から報われない片想いを続けていた真樹那。

なぜ報われない片思いなのかは、この最終話で明らかにされる。

そして、その思いの行方も…。

 

第一話ではいくら夢としてもちょっとひいてしまったが、第二話、第三話となかなかいい話だった。

第二話では、サッカーから離れてしまう登場人物。

サッカー選手としての挫折とセカンドキャリアでの苦しい体験や思いが描かれている。

まだ若いのに奥さんを亡くしてしまう友人への思いの表現には、こちらも複雑な感情になってしまった。

第三話では、サッカーを教えてくれた友人とポジションを奪い合うことになってしまったがゆえに起こる悲劇と、後になって分かる隠された真実に、ちょっと感動。

 

そして、四番目の最終話では、この物語で最も大切な人物、真樹那の心情にそって話が進む。

その心情とは、貴希に対する長く報われない愛だ。

物語の終盤になって女の子の心情にスポットを当てて、ストーリーが一気に加速するのは、先の「冷たい恋と雪の密室」と同じだなあと思いながら読んだ。

だけど、この「青の誓約」の方が無理のない展開だと思い、読後感は快かった。

おまけに、単行本書き下ろしの「After story」も、続編としてほのぼのしたいい感じの恋愛話だと思った。

こういう恋愛とスポーツが描かれている小説っていいなあ、と実感したよ。

(イツマデモ若イ気デイルカラネ…)

 

読み終えたら、本書のおしまいの方に何ページもこの綾崎隼の他の作品のCMがあった。

それによると、「レッドスワンシリーズ」というサッカー物の小説が何冊かあるそうだ。

しかも、その小説の舞台は、9度の全国大会出場を誇る、新潟県屈指の私立高校サッカー部だとのこと。

う~ん。そっちの方も読んでみたくなってしまったぞ…。

コメント (2)
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