あっ、宇野亞喜良氏の絵だ!
図書館に行って、飾られていた本の一つの表紙に、宇野亞喜良氏が描いた装丁のものがあった。
なんだかとても懐かしい感じがした。
宇野氏の描いた絵と初めて会ったのは、まだ私が高校1,2年のころだった。
面白い本がないか、本屋の本をいろいろとあさるように探していたとき、ある本に引き付けられた。
その書名は、「さよならの城」というものだった。
主に若い女性向けの本だった。
その表紙の絵が、宇野亞喜良氏によるものだった。
ただ可愛いだけではない、特徴的な絵が気になった。
著者は、寺山修司だった。
裏表紙に書いてあった詩がとても気に入って買うことに決めた。
50年近くたった今でも、その詩はそらんじることができる。
さよならだけが 人生ならば
めぐりあう日は何だろう
やさしいやさしい夕焼けと
ふたりの愛は何だろう
さよならだけが 人生ならば
人生なんか いりません
本の中では、この詩はもっと長かったように覚えている。
でも、裏表紙のものは、これしか書いてなかったのだったし、この長さのこの詩の部分がよかったのだった。
16,17歳の私には、本の中身よりも、表紙の宇野亞喜良の絵と、裏表紙の寺山修司の詩がイチバンだった。
…そんなことを思い出しながら、この「鳥籠の小娘」の本を手に取った。
作者(著者)の千早茜氏については、失礼ながら全然知らないでいた。
近くに、「大人の絵本」と書いてあった。
そうか、大人の絵本か。
じゃあ、読んでみようかな、という気になった。
絵本というだけあって、表紙だけでなく、中にも宇野亞喜良氏の絵がたくさん入っている。
それを楽しみたいという気にもなって、借りてきた。
さっそく読んだ。
40ページ余りの本であったが、千早氏の書いた物語も、宇野氏の絵も、楽しむことができた。
物語に、幻想的な絵がとてもよく合っていた。
内容について、ここでは細かく触れないことにするが、また別な千早氏の本を読んでみたいと思った。
この本は、2019年の発行だから、4年前でしかない。
宇野氏の今が88歳(まもなく89歳)だから、魅力的なこの本の絵は80代で描いたということか。
そう考えると、彼の創作意欲も絵の魅力もすごいものだよなあ…。