森村誠一氏が老人性うつにかかって苦しんだということは知らなかった。
だが、新聞広告に、本書の紹介広告が載っていて気になった。
森村氏といえば、われわれが学生時代だった頃、角川映画とタイアップした小説たちで有名だ。
俗に「証明三部作」と呼ばれたものがあった。
「人間の証明」「青春の証明」「野性の証明」。
どれも長編小説だったし、読みごたえのある重厚な作品だった。
あの頃硬派に感じた森村氏が、老人性うつを経験して今どんなことを語って(書いて)いるのか、興味が湧いた。
また、高齢者の仲間入りをする自分として、老いる意味をどうとらえていけばよいのかを考える一助となることも、ちょっぴり期待した。
読後、確かに勇気をいただいた。
余生などと考えずに、自分らしく生きることを求めていくことが最も大事だということだ。
未来に目を向ければ、今の自分が一番若い。
たしかにそうなのだ。
身体が老いたり、病を経験したりしても、心を含めてすべてが老いてしまうわけではない。
たしかにそうなのだ。
生きる意欲を持って日々を楽しむこと。
そういう姿勢を持っておくことで、人生を充実させられる。
過剰に老いを恐れず、永遠に自分の可能性を追求する姿勢を持っておく。
たしかにそうなのだ。
森村氏は、88歳になっても夢を持ち続けている。
私も、具体的な夢を持ち、これからの人生を生き生きと過ごしていきたい。
さて、どんな夢を描いてみようか?