『人間は本来、仏の心を持ち合わせていると言われておりますけれども、何かに苦悩している時は、それを忘れてしまって、相手を責めようとします。反省したり、内省したりせず、相手を何とか負かそうとする。そうした時に、苦悩はますます多くなっていくと教えられております。
仏さまの教えてくださる法則、宇宙の法則というものは、簡単に言えば、「こうすると、こうなる」「こうしないと、こうならない」という、ただそれだけなのです。相手に温かい気持ちをかけると、相手もまた温かく見てくださる。憎むと、相手から憎まれるというように、とても単純で分かりやすいものです。
その単純な分かりやすいことが、感情的になってくると分からなくなります。ですから、人間として本来持っている明るさ、優しさ、温かさを大きくしていく、気づいていくことが、私たちの修行であると言うことができます。
そして本来、この大宇宙の中に、問題は何もないのだそうです。私たちは、相手を変えようと、いろいろなことで苦悩して、環境が悪い、相手が悪いと言って、自分で問題をつくり出しているのです。物事を小さな範囲でしか見られないと、すべてのことが問題と見えてくるのですが、本当は問題はない、自分が変われば問題は起こらないとも言えるわけであります。』
庭野日鑛会長『佼成新聞』より