『子どものことで困り果てて、もう、どうしていいか分からなくなってしまうというときが、親御さんなら、どなたにもあるのではないでしょうか。そういうときには、子どもをどうしよう、こうしようということはひとまずおいて、自分が子どものときのことを思いだしてみてほしいのです。
これまで自分が親にどう対してきたか。自分がどんなに親に手を焼かせ、心配をかけたか。自分のために親がどれほどの苦労に耐えてくれてきたか……。
それをすっかり忘れてしまって自分一人で一人前になったつもりでいるわけです。その自分を見つめることのほうが先だと思うのです。わが子のことで苦しみぬいて、初めて本当に親の恩が分かってくるのです。
心の底から両親への感謝がわき上がってくると、心が素直になって、それで子どもの本当の心が見えてくるのですね。自分の子どものころのことも思い合わせて、子どもの気持ちが分かってきて、親と子の心が通い合うのです。
毎日のご供養は、親の願いにこたえる誓いであり、ご先祖さまの願いをかみしめる行でもあります。その行がきちんとできるようになると、向こうから自然にお手配がついてきます。』
庭野日敬著『開祖随感』より