「中将姫」と植樹された方の名前と共に、この紫陽花の名の書いた立札がありました。
道路の向こうのこんもりとした森が「中将の森」で小さい祠があります。
最近テレビで活躍してその名前が出る横浜ベイスターズの筒香嘉智さんは、この恋野の出身なので、紫陽花を記念植樹して
選手の写真入りの立派な記念碑が立てられています。
郷土の人たちは応援しているのでしょうね。
万葉集に紫陽花が詠われているのは、2首だけです。
言問はぬ木すらあぢさゐ諸弟(もろと)らが練りのむらとにあざむかれけり(家持)
あぢさゐの八重咲くごとく弥(や)つ代にをいませ我が背子見つつ偲はむ(諸兄)
茜さす昼はこちたしあぢさゐの花のよひらに逢ひ見てしがな(作者不明)
夏もなほ心はつきぬあぢさゐのよひらの露に月もすみけり
あぢさゐの下葉にすだく蛍をば四ひらの数の添ふかとぞ見る 定家
万葉集ではないのですが、上の詠で詠まれている「よひら」言葉は花弁が4片あるガクアジサイが、当時の紫陽花だったのだと思います。
今は華やかな西洋紫陽花が、どこの紫陽花園でも多く植栽されていますが、ガクアジサイは日本紫陽花のルーツと思いながら、花と向かうとき古へのロマンが偲ばれます。
曇り日に咲く紫陽花の花の下青年の蛇は埋められゐむ 前 登志夫
紫陽花の花を見てゐる雨の日は肉親のこゑやさしすぎてきこゆ 前川佐美雄
昭和の奈良県の歌人の詠です。
お二人の先生には何らかの形でお世話になりましたので、紫陽花の歌探しをしている時、見つけて嬉しくなり上げさせていただきました。