おふさ観音の本堂裏から、離れの円空庭へ行く露地の右側に、今花盛りの夏椿を見ることができました。
バラまつりで来た時、夏椿のことを尋ねたら、花はもう終わりましたよとの答えが返ってきましたので、
とても残念に思っていました。
きっとその人は思い違いをしていたのでしょう。
「良かった・よかった。あなたに出会えて。」
そんな気持ちで、暫くは花の傍に立ち尽くしていました。
この木肌独得の、すべすべした滑らかな木に吊るされた、風鈴は、夏椿と一体になって、花に負けじと
木の間に揺れています。
葉の裏に隠れん坊をしているような、風鈴もあります。
その上に、小さな固い蕾が見えています。
花弁をよく見ていますと、先にはギザギザのギャザーのあるのが、見栄えがして綺麗です。
でもこんなに綺麗に咲いていても、それは今日たった1日の命の花です。
1夜花って、儚い響きです。
白く綺麗なだけに、今咲いているのを見ても、儚い思いがします。
木の根元には、昨日の花が、散り敷くように落ちています。
椿と同じように、散るのでなくぽとりと落ちて、1日生きた証を、庭に残しています。
今日は良く咲いて、待っていてくれてありがとう。
明日はどんな人との出会いがあるのでしょう。
あなたを愛でる人との出会いがきっとあることでしょう。
咲いている花も沢山だけど、蕾もずいぶん木に見られました。
沙羅の木と呼ぶところもありますが、お釈迦様が亡くなられた時、はらはらと降り注いだ沙羅双樹の花は
これではなくて、日本では、温室でしか花は咲かないし、木も育ちません。
草津の水生植物園の温室で、沙羅双樹の花と出会ったことがありますが、薄いクリーム色の高貴な花でした。
お寺に咲く沙羅の花は、夏椿だと花を見るたびそう呼びたくなります。