迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

陰陽―カゲヒナタ―5

2012-05-05 22:52:50 | 戯作
発車ベルは、目覚まし時計の音だった。 せっかくあの人に逢ったのに…! 僕は軽く舌打ちしてベッドから出ると、箪笥の上の目覚まし時計を黙らせた。 夢はさいわい、まだ頭に鮮明に記憶されている。 「消してなるもんか…!」 僕はスケッチブックに、すぐさまその記憶を描き写した。 そして昨日買ったばかりの顔料で、色彩も蘇らせていく。 だいたいの印象を留めることが出来たところで、バイトへの出勤時 . . . 本文を読む
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