遅延でいつもより混雑気味の電車内。
予定が狂うことに苛立つわたしの目に映ったのは、
ベビーカーをたたんで脇に立て、
赤ちゃんを胸に抱いて立つ、
若い母親の姿。
車内が混雑していてもベビーカーをたたまない“厚顔無知”が蔓延しているなか、
まだこういう若い親がいることに、
わたしの苛立つ気持ちは、
いつの間にか消えていた。 . . . 本文を読む
翌日。
山内晴哉は「体調不良ということでお休み…」と始業前の朝礼で聞かされて、なぜかちょっとだけ、つまらなく思ったりする。
この日の晩は何だか過ごしやすい陽気だった。
アパートへ直帰は勿体ない。
ちょっと街をぶらついてやろう。
まずは萬世橋駅で下車して。
別に萬世橋駅でなくてもいいんだけれどね。
あの駅舎が好きなんだ。
明治45年に開業した時のままの、あのノスタルジックな . . . 本文を読む